法人第8期会長就任にあたり
このたび、日本太陽エネルギー学会の法人第8期会長を務めることとなりました。会員の皆様とともに、伝統ある本学会のさらなる発展のために尽力してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本太陽エネルギー学会は、来年2025年に設立50周年を迎える歴史を持ち、これまで、太陽エネルギーをはじめ風力、水力、バイオマスなど様々な再生可能エネルギーを対象として、電気・材料・化学・建築・運輸・気象などの多様な分野で学術・教育・啓発活動を行ってきました。持続可能な社会の構築には、様々な視点での技術開発とそれらの融合が必須であり、広範な技術分野をカバーする本学会が担うべき役割は、設立100周年に向けた次の50年において益々大きくなっていくと考えています。
これまで私たちは、化石エネルギーを大量消費しながら便利な生活を築き上げてきました。一方で、化石エネルギーの大量消費の代償として気候変動の懸念が指摘されてきましたが、最近、これまでにない気温上昇や大雨、強風などによる被害が頻繁に報道されるようになり、いよいよ歪が顕在化してきたと実感しています。また、少子高齢化、人手不足、働き方改革、地政学的リスク、カーボンニュートラルなどの昨今の様々な世界的課題に向き合うとき、必ずと言ってよいほどエネルギー問題もどこかで絡み合い、課題をより複雑にしています。多くの課題の解決に向けた手段の一つとして、再生可能エネルギーの活用には今後さらに大きな期待が寄せられることは確実です。
日本太陽エネルギー学会がその期待に応えるべく、特に次のような点に注力したいと思います。日本太陽エネルギー学会定款には、「国内外の研究者・研究団体との交流を図ることを目的とし、併せて科学技術の振興と研究成果の普及を図る」と明確に使命が記されています。社会活動の停滞を強いたコロナ禍を乗り越えた今、この目的をあらためて再認識し、学会活動のさらなる活性化に取り組みたいと思います。その中心となるのは、やはり、毎年秋に開催の研究発表会や年6回発行の学会誌「Journal of Japan Solar Energy Society」の一層の充実です。再生可能エネルギーに関連する多種多様な分野をカバーしていることが本学会の最大の特長であり、会員の皆様が研究発表会や学会誌を通じて各々の専門技術を発展させることができるよう、企画・運営を行ってまいります。次代の再生可能エネルギー開発の担い手である学生をはじめ、広く再生可能エネルギーに関わる個人・団体に数多く入会いただくことも重要課題です。特に2025年は、設立50周年記念事業を展開し、本学会全体としての記念イベント開催に加え、各部会や各委員会での企画を通じて本学会の魅力を積極的に発信して認知度をあげる絶好の機会です。この機会を活かし、会員増につなげたいと思います。
規模を自由に選べる太陽光発電等をはじめ、再生可能エネルギーは、多くの一般の方々にも設備所有者としてエネルギー供給に関われる選択肢を提供します。限定的な数の人がエネルギー供給に携わり、他の多くの人がそのエネルギーを消費する構造から、多くの人がエネルギー供給に携わり、そして全員で消費する構造への転換が徐々に進み始めています。持続可能な社会に向けたこの変化においては、技術開発だけでは超えられない壁があるように思います。小規模ではあるけれどもエネルギー供給の一翼を担っているとはどういうことか、そのような社会においてエネルギー消費はどうあるべきか、人々の中にこれまでとは異なる意識が求められるはずです。そのような意識の醸成にも、日本太陽エネルギー学会の活動が大きく貢献できると確信しています。
学生、若手研究者からシニアまで、全ての会員の方々の活躍の場として日本太陽エネルギー学会が最大限に機能するように、理事会・事務局一丸となって学会運営を行ってまいります。引き続き、会員の皆様におかれましては、ご支援、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
2024年7月
会長 若尾 真治
歴代会長・副会長
年度 | 会長 | 副会長 |
昭和51年度(1976) |
谷下市松 |
押田勇雄 |
昭和52年度(1977) | ||
昭和53年度(1978) | ||
昭和54年度(1979) | 押田勇雄(上智大学) | 木村建一(早稲田大学) 渡部康一(慶應義塾大学) |
昭和55年度(1980) | ||
昭和56年度(1981) | ||
昭和57年度(1982) | ||
昭和58年度(1983) | ||
昭和59年度(1984) | 木村建一(早稲田大学) | 田中俊六(東海大学) 渡部康一(慶応義塾大学) |
昭和60年度(1985) | ||
昭和61年度(1986) | 野口哲男 ((財)機械電子検査検定協会) |
中島康孝(工学院大学) 堀米孝(新エネルギー・産業技術総合開発機構) |
昭和62年度(1987) | ||
昭和63年度(1988) | 濱川圭弘(大阪大学) | 浅野祐一郎(昭和アルミニウム(株)) 藤井石根(明治大学) |
平成元年度(1989) | ||
平成2年度(1990) | 堀米孝(東京農工大学) | 伊藤直明(東京都立大学) 桑野幸徳(三洋電機(株)) |
平成3年度(1991) | ||
平成4年度(1992) | 渡部康一(慶応義塾大学) | 高倉直(東京都立大学) 松木健次(シャープ(株)) |
平成5年度(1993) | ||
平成6年度(1994) | 中島康孝(工学院大学) | 浅野祐一郎(昭和アルミニウム(株)) 齋藤武雄(東北大学) 谷辰夫(東京理科大学) |
平成7年度(1995) | ||
平成8年度(1996) | 藤井石根(明治大学) | 齋藤武雄(東北大学) 武田行弘((財)電力中央研究所) 中津川昭一(矢崎総業(株)) |
平成9年度(1997) | ||
平成10年度(1998) | 谷辰夫(東京理科大学) | 宇田川光弘(工学院大学) 武田行弘((財)電力中央研究所) 松木健次(シャープ(株)) |
平成11年度(1999) | ||
平成12年度(2000) | 齋藤武雄(東北大学) | 石川修((株)ミサワホーム総合研究所) 伊藤定祐(神奈川工科大学) 宇田川光弘(工学院大学) |
平成13年度(2001) | ||
平成14年度(2002) | 武田行弘((財)電力中央研究所) | 石原修(熊本大学) 伊藤定祐(神奈川工科大学) 松田高明(京セラ(株)) |
平成15年度(2003) | ||
平成16年度(2004) | 石原修(熊本大学) | 浅井俊二(矢崎総業(株)) 大橋一正(工学院大学) 脇坂健一郎(三洋電機(株)) |
平成17年度(2005) | ||
平成18年度(2006) | 牛山泉(足利工業大学) | 浅井俊二(矢崎総業(株)) 石川修((株)MSK) 金子正夫(茨城大学) |
平成19年度(2007) | ||
平成20年度(2008) | 石原好之(同志社大学) | 浅井俊二(矢崎総業(株)) 荒川裕則(東京理科大学) 長井浩(日本大学) |
平成21年度(2009) | ||
平成22年度(2010) | 宇田川光弘(工学院大学) | 佐藤春樹(慶応義塾大学) 須永修通(首都大学東京) 太和田善久((株)カネカ) |
平成23年度(2011) | ||
平成24年度(2012) | 荒川裕則(東京理科大学) | 佐藤春樹(慶応義塾大学) 須永修通(首都大学東京) 太和田善久(大阪大学) |
平成25年度(2013) | ||
平成26年度(2014) | 太和田善久(大阪大学) | 秋澤淳(東京農工大学) 酒井孝司(明治大学) 坂本修(英弘精機(株)) |
平成27年度(2015) | ||
平成28年度(2016) | 秋澤淳(東京農工大学) 須永修通(首都大学東京) 光田憲朗(三菱電機(株)) |
|
平成29年度(2017) | ||
平成30年度(2018) | 須永修通(首都大学東京) |
秋澤淳(東京農工大学) 光田憲朗(三菱電機(株)) 若尾真治(早稲田大学) |
令和元年度(2019) | ||
令和2年度(2020) | 光田憲朗(三菱電機(株)) |
秋澤淳(東京農工大学) 加藤和彦(国立研究開発法人産業技術総合研究所) 若尾真治(早稲田大学) |
令和3年度(2021) | ||
令和4年度(2022) | 秋澤淳(東京農工大学) |
太田勇((株)ミサワホーム総合研究所) 加藤和彦(国立研究開発法人産業技術総合研究所) 若尾真治(早稲田大学) |
令和5年度(2023) | ||
令和6年度(2024) | 若尾真治(早稲田大学) | 太田勇((株)ミサワホーム総合研究所) 加藤和彦(国立研究開発法人産業技術総合研究所) 吉永美香(名城大学) |