2023年研究発表会:講演プログラムと発表概要

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11月16日(木)

特別講演(15:00-17:00)

  • 開会挨拶  一般社団法人日本太陽エネルギー学会 会長 秋澤 淳
  • 企業展示会社事業紹介
    • 英弘精機株式会社
    • 日本カーネルシステム株式会社
  • 特別講演Ⅰ: 地域新電力におけるため池を活用したオフサイトPPAの意義/一般財団法人泉佐野電力 事務局長 甲田裕武
  • 特別講演Ⅱ: 泉佐野の3つの日本遺産と世界かんがい施設遺産について/泉佐野市教育部日本遺産推進担当理事 中岡勝

セッションA1(10:20-11:40):日射量・PV発電量予測(1)

1   全天空画像を用いた日射量推定法における入力画素による推定精度への影響
    ※川池卓也(岡山大学),髙橋明子(福井大学)
     近年,太陽光発電が注目されている.太陽光発電は,天気により発電量が急峻に変化するため,電力系統に悪影響を及ぼす恐れがある.そこで,全天空画像を用いた日射量予測法が提案されている.本研究は,全天空画像の画素数を変更し,推定精度を比較する。入力画素を変更すると,CNNの構成を変更する必要があるため,二つのパターンで評価する.その結果,64×64 pixelの画像でCNNの層数を増やしたものの精度が最もよくなった.
2   全天空画像と雲量を用いた短分先の日射量変動判定
    ※兼信みのり(岡山大学),髙橋明子(福井大学)
     日射量予測モデルの切り替えを目的として,雲量を用いた日射量変動判定モデルを作成する.日射量変動判定モデルの入力データは,全天空画像と,画像から推定した雲量である.出力データは,現在から5,10,15分先の日射量変動の大きさである.15分先の変動の大きさが100W/m2以上のときに変動ありと判断した結果,雲量を用いた手法は日射量を用いた手法に比べて,真陰性率は悪化したが正解率は1.9%向上した.
3   全天空画像からの1および2方向の雲の流れ方向判定法の提案【奨励賞(学生部門)】
    ※脇坂颯,坂東隆宏,伊藤翼,宮原由紀,滝川 史(豊橋技術科学大学),平塚元久,真木志郎(株式会社エイム)
     我々はこれまで太陽光発電電力量予測のために,1 または 2 方向での雲の流れ(雲流)方向の簡易的導出法を開発してきた。しかし,先行開発において,導出結果が実際の方向と一致しないことがあったり,雲流方向数は自動判定ができていなかったりした。そこで,本研究では,雲流方向とその数を求めるのに最適なオプティカルフロー手法について比較検討を行った後,円周標準偏差を用いた雲流方向数の自動判定法を開発した。
4   気象衛星画像を用いた日射量の短時間予測技術の高度化
    ※宇都宮健志,佐々木潤,岡田牧,山口浩司(一般財団法人日本気象協会)
     著者らはこれまで気象衛星画像を用いた短時間先予測技術の開発を行ってきた。数時間程度先までの日射量予測では、主に雲の移動が主体であるが、予測時間が長くなると雲の生成・消滅の影響が大きくなる。また、予測モデルを高精度化しても予測誤差は生じるため、予測誤差を考慮した確率論的予測情報の開発も重要となる。本研究では、上記の課題に関して、NEDO事業で取り組んでいる日射量予測技術の高度化の取り組みについて報告する。

セッションA2(12:40-14:20):日射量・PV発電量予測(2)

5   水平面日射量からPV出力を推定するANNモデルのハイパーパラメータ検討
    ※伊藤翼,坂東隆宏,脇坂颯,滝川浩史(豊橋技術科学大学),平塚元久,真木志郎(株式会社エイム)
     我々は,地上観測による太陽光発電電力量予測システムの開発を行っており,これまでに水平面日射強度をPV発電電力に変換するANNの作成を行ってきた。本研究では,学習パラメータの初期化手法,最適化アルゴリズム,ミニバッチ学習について検討を行った。また,学習がうまくいかない日について,過去1週間の最良モデルの学習済みパラメータを初期値とすることで,推定精度が改善されるか検討した。
6   エリアPV出力合計値に基づく特定エリアにおける導入PVの空間分布推定に関する基礎的検討
    ※森友輔,若尾真治(早稲田大学)
     エリア規模におけるPV出力合計値の予測において、PV設置地点の情報が入手できれば、活用すべき気象予測情報の地点が明確になり、予測精度の改善に有効と考えられる。本研究では、対象エリアにおけるリアルタイムの日射量推定情報とエリアPV出力合計値それぞれの時系列データから、エリア内の導入PVの空間分布推定手法を提案する。また、PV分布の推定に用いるエリア分割の粒度が推定精度に与える影響等を検討する。
7   JIT Modelingを用いた平均日射量値の細かい時間粒度への按分手法の検討
    ※佐伯奈々帆,森友輔,若尾真治(早稲田大学),大竹秀明,高松尚宏,大関崇(産業技術総合研究所)
     PVシステムの運用に際し、日射量予測情報の活用は必須である。日射量予測値に関しては、現在、気象庁配信のMEPSによる3時間平均値が入手可能である。よりきめ細やかなエネルギーマネジメントのためには、より時間粒度の細かい1時間値が有効である。本稿では、JIT Modelingに基づく機械学習により、MEPSによる3時間平均値から1時間値を推定する新たな手法を提案する。大気圏外日射量で按分する簡便手法と比較し、提案手法の有効性を示す。
8   複数予報データを用いた翌日日射予報の大外し低減手法の検討
    ※高松尚宏,中島 虹,大竹 秀明,大関 崇(産業技術総合研究所) 山口 浩司(一般財団法人日本気象協会)
     太陽光発電が大量に導入された電力系統では、翌日日射予報に基づいた運用計画の立案が行われる。効率的で安定的な電力系統の運用を実現するためには、翌日日射予報の高度化が必要であり、平均精度だけではなく稀な大外しリスクも抑制できるような予測が求められる。本研究では、アンサンブル予報データを使用した複数日射予報モデルを機械学習により構成し、平均精度向上と大外し抑制を両立する予測モデルについて検討を行った。
9   Headroom制御を利用した太陽光発電による調整力創出のポテンシャル評価の検討
    ※大関崇,大竹秀明,高松尚宏,中島虹(産業技術総合研究所)
     太陽光発電からの調整力創出の検討を行っている。年間においてどの程度の上げ調整力に関するポテンシャルが存在するかについて基礎的な検討を行った結果について報告する。

セッションB1(10:20-11:40):光化学・電気化学

10   Fe/N/C型非白金系酸素還元触媒炭素担体への窒素原子ドープによる酸素還元能への影響【奨励賞(学生部門)】
    ※和田悠希,城石英伸(東京工業高等専門学校),白石美佳,蒲生西谷美香(東洋大学)
     本研究では,マイクロウェーブ法を用いることにより,Fe/N/C(Ketjenblack)触媒の調製時間とエネルギーの大幅な節約と酸素還元能の向上を目的とした.キャラクタリゼーションはTEM測定,XPS,ラマン分光分析などにより行い,Nabae法により酸素還元活性を評価した.その結果,調製時間は約1/3になるとともに,0.8 V vs. RHEにおける酸素還元活性は1.5倍になった.
11   マイクロウェーブ法によるFe/N/Ketjenblack触媒調製の時短・省エネルギー化および酸素還元能の向上
    ※杉永宗一郎,城石英伸(東京工業高等専門学校),白石美佳,蒲生西谷美香(東洋大学)
     本研究では,マイクロウェーブ法を用いることにより,Fe/N/C(Ketjenblack)触媒の調製時間とエネルギーの大幅な節約と酸素還元能の向上を目的とした.キャラクタリゼーションはTEM測定,XPS,ラマン分光分析などにより行い,Nabae法により酸素還元活性を評価した.その結果,調製時間は約1/3になるとともに,0.8 V vs. RHEにおける酸素還元活性は1.5倍になった.
12   セルロース紙から作製した炭素担体を用いたFe/N/C型酸素還元触媒のマイクロウェーブ法による高活性化
    ※水野太聖,杉永宗一郎,城石英伸(東京工業高等専門学校),齋藤守弘(成蹊大学),京谷陸征,岡田達弘(株式会社つくば燃料電池研究所)
     京谷らによってセルロース系の紙をメタンスルホン酸処理することによって高収率の炭素材料を得ることが報告された.本研究では,上記方法による炭素材料ならびに酢酸鉄(II),フェナントロリン,酢酸亜鉛を原料とした酸素還元触媒を,マイクロウェーブ法を用いて高活性化することを目的とした.キャラクタリゼーションはXPS・ラマン分光測定を用いて行い,酸素還元活性はNabae法によるRRDE法で評価した.
13   三相界面を有する電解セルを用いたRuナノ粒子触媒による低温常圧下でのアンモニア電解合成
    ※安田雄俊,城石英伸(東京工業高等専門学校),蒲生西谷美香,松本遥(東洋大学)
     低温常圧下でのアンモニア電解合成は,自然エネルギーを活用した水素キャリア生成手法として有用であるが,実用に足る高活性触媒がない現状にある。本研究ではRuナノ粒子触媒による低温常圧下でのアンモニア電解合成を行い,電解液pHおよびRu担持担体が活性に及ぼす影響を評価した.触媒は電析法を用いて調製し,物性評価はXPS及びSEMを利用した.アンモニアの電解合成は三相界面セルを用いて行った。

セッションC1(10:20-11:40):太陽熱利用Ⅰ

14   マグネシオフェライト発泡体デバイスを用いた二段階水熱分解水素製造サイクルに関する研究
    ※伊藤和洋,後藤慶祐,Liu Wenheng,小野寺拓真,Selvan Bellan,児玉竜也(新潟大学),黒澤和浩,小塚久司(日本特殊陶業株式会社)
     高温太陽集熱による水の熱分解法として、金属酸化物の酸化還元系を反応媒体とする二段階サイクルが注目されており、金属酸化物を発泡体化し、これに太陽集光を直接照射するソーラー反応器が欧州等の研究機関で開発されている。本研究では、近年、高活性の反応媒体として見出されたマグネシオフェライトを小型発泡体として試作し、サンシミュレータで性能試験を行った。従来の酸化セリウム発泡体と比較し、約3倍の活性を得られた。
15   高エントロピー金属酸化物による二段階水熱分解水素製造サイクル
    ※小野寺 拓真,高橋 亜衣,小原 侑起,伊藤 和洋,Selvan Bellan,児玉竜也(新潟大学)
     酸化還元金属酸化物を反応媒体する二段階水熱分解サイクルは、高温の太陽集熱を水素に変換するプロセスとして期待される。最近、多数の金属成分をほぼ等モルで含有して配置エントロピーを高めた高エントロピー鉄酸化物が高活性を持つことが報告された。本研究ではMnを含有した4成分系鉄酸化物の反応活性を熱重量分析法で検討し、従来よりも低温のサイクルでベンチマークとされるセリアの5~11倍の活性を持つことを見出した。
16   太陽光熱による酸化亜鉛の還元実験
    ※武田諒太,木村元昭,秋元雅翔(日本大学)
     フレネルレンズを用いることにより太陽光を点集光し酸化亜鉛を熱することにより亜鉛を再生する。また太陽光熱の代わりに電気炉を用いて実験を行うことで模擬的に実験を行った。そこで酸素分圧がある一定の値を下回ると酸化亜鉛が還元されるため、従来の実験では真空ポンプを用いて酸素分圧の低下を図っていたが今回真空ポンプを用いずに不活性ガスによる置換を行うことで酸素分圧の低下を図った。
17   太陽集熱によるZnとH2Oを用いた水素生成及びZnOの還元サイクルに関する研究【奨励賞(学生部門)】
    ※島田健太,木村元昭,秋元雅翔(日本大学)
     太陽光をフレネルレンズで点集光し,得られた高温熱源を利用して金属水熱分解反応を用いて亜鉛と水から水素を生成し,同様に還元反応により酸化亜鉛から亜鉛を還元するサイクルを考案し,装置を試作する.今回は、太陽熱の代わりに電気炉を用いて模擬的に実験を行った。水素生成過程において、反応させる水量、亜鉛量、水注入時の温度を変化させて得られた発生ガスの水素濃度を調べ、サイクルの改善を目指した。

セッションC2(12:40-14:20):太陽熱利用

18   不使用期の温室を利用した簡易型太陽熱利用木質バイオマス乾燥装置の検討
    ※深田悠平,高橋達(東海大学)
     ビニールハウスの不使用期に木質チップを乾燥させる仕組みについて検討を行った。太陽集熱器からダクトを通して木質チップが敷き詰められているエアマットへ温風を送風することとした。その際、数値シミュレーションを通して適切な送風量を把握するとともに、実測調査にて乾燥に必要な日数と条件について考察した。
19   木質チップを入れた円筒容器を回転させることによる太陽熱を用いた乾燥の効果
    ※相生悠人,藤本雅則(金沢工業大学)
     間伐材や廃材からなる木質チップを燃焼させ,低位発熱量を得るバイオマスボイラがある.木材の採取直後には多量の水分を含んでおり,燃焼が困難である.本研究では,バイオマスボイラの燃焼に用いる木質チップの含水率を太陽熱により低減させることを目的とする. 具体的には,木質チップを円筒容器に入れて回転させることで攪拌させた結果,木質チップの含水率は低減した.
20   太陽熱利用による施設園芸省エネ化を目指した実測調査
    ※高柴天空(静岡理工科大学)
     静岡県の温室メロン栽培では暖房に、重油ボイラによる温水供給が行われている。しかし、近年の重油価格の高騰から、メロンの品質を維持しつつも消費エネルギーの削減が求められる。そこで本研究では、実測による適切環境の調査、実験による熱供給方法の検討を行った。
21   ZEB実現のための自然エクセルギー利用システムの最適設計の検討
    ※伊澤康一(福山大学),宋城基(広島工業大学)
     本研究では、ZEB実現のために実建物を対象としてエクセルギー概念による建築設備システムの最適な設計を目的としており、低質エネルギーである熱と、高質エネルギーである電力・化石燃料が出入りする建築設備システムについて、実測値に基づいて計算モデルを構築した上で、エクセルギー解析によって最適化を検討する。本報では、太陽熱利用システムを対象として計算モデルを構築し検討した結果を報告する。
22   太陽熱利用による換気のデシカント除湿システムの試作と性能試験
    ※小泉尚夫(株式会社東洋ソーラーシステム研究所),櫻井良一(一般社団法人YUCACOシステム研究会)
     太陽熱利用給湯システムに於いて夏季の余剰になる集熱を利用して、換気吸入空気のデシカント除湿システムを試作した。除湿を行うと除湿潜熱分空気温度が上昇するのでその温度上昇を抑えるため、排気空気と熱交換する空気―空気対向流熱交換機も試作して、吸入空気の除湿後の温度を排気する空気温度に近い温度にすることができた。

セッションD1(10:00-11:40):ZEH

23   全館空調住宅における地中熱利用に関する研究 10年間にわたる温湿度とエネルギー収支に関する実測結果の分析
    ※三田村輝章(前橋工科大学)
     本研究では,全館空調住宅におけるゼロエネルギー化の可能性について検討することを目的とし,蓄熱式コンクリートベタ基礎とその直下に埋設したアースチューブによる地中熱利用と屋根に太陽光発電システムを搭載した居住住宅を対象として10年間にわたる実測調査を実施した。本報では,10年間にわたる温湿度変動とエネルギー収支の実測結果を分析し,室内環境やアースチューブの効果の経年変化とZEH達成状況について報告する。
24   パッシブデザインを活用した木造戸建て住宅のエネルギー性能評価に関する研究(第一報) 建築概要と年間データ計測
    ※持田正憲(武蔵野美術大学),西川豊宏(工学院大学)
     本研究では、2050年脱炭素社会の実現に向けて、パッシブデザインを活用して設計された木造戸建て住宅を対象として、パッシブデザインの有効性を評価し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の実現について検討する。本報では、神奈川県伊勢原市に所在するパッシブハウス認定された伊勢原パッシブハウスの実住居下における計測データを活用して、その環境性能を報告する。
25   大容量蓄電池や昼間運転ヒートポンプ給湯機を搭載したエネルギー自給住宅の分析【奨励賞(一般部門)】
    ※藤本卓也,村上伸太郎,原田真宏(大和ハウス工業株式会社)
     近年、住宅分野においてZEHの推進とともに太陽光発電等が多く導入されている。一方で系統制約等の観点から、自宅内で発電した電力は自宅内で消費することが推進されている。自家消費の促進のためには、蓄電池の導入や電力需要の昼間への移行が効果的であるとされる。本稿では、戸建住宅に大容量蓄電池および昼間運転ヒートポンプ給湯機を搭載したエネルギー自給住宅について、エネルギー自給率向上効果の分析結果を報告する。
26   複数の戸建住宅での電力融通効果および各蓄電池の稼働評価
    ※村上伸太郎,藤本卓也,小林雅之,原田真宏(大和ハウス工業株式会社)
     近年,太陽光発電システムで発電した電気は自家消費することが求められている.また,複数の世帯で電気をシェアすることで,発電した電力の自家消費をより多くすることが可能である.本稿では,複数の世帯で電気をシェアする場合の蓄電池制御パラメータによる発電電力の自家消費率や電力自給率の感度分析および,実測結果から自家消費率・電力自給率の向上効果や各蓄電池の稼働状況の評価結果について報告する.
27   Experimental study on integrating transparent photovoltaic film with transparent vacuum insulation panel(光透過性を有する太陽電池と真空断熱材の複合化に関する実験的検討)
    ※Erkki Hirvonen,葛隆生,長野克則(北海道大学)
     本研究では、既存建築物の窓面の断熱性能向上と発電機能の付与を目的として、光透過性を有するフィルム基盤の太陽電池に光透過性を有する真空断熱材を複合化することを試みた。複合化した光透過型太陽電池―真空断熱材(PV-TVIP)は薄型・軽量であるという特長を有している。試作したPV-TVIPについて、断熱性能と発電性能を評価する実験を実施した。

セッションD2(12:40-14:20):建築分野実測評価

28   パッシブ換気住宅での「オープンクーリング」による住宅の室内気候と快適性
    ※熊谷菜花,堤 晴季,齊藤 雅也(札幌市立大学)田中 祐輔,小合 祐輔(旭化成建材株式会社),米本 晋太朗(株式会社カイトー商会)
     パッシブ換気住宅における「オープンクーリング」という室内気候デザイン手法を用いた空間の室内気候特性とその快適性について、実測と被験者実験を通して明らかとする。日常的なデータ計測に加え、オープンクーリング住宅の非居住者にその空間を体感してもらい、熱的快適性等のオープンクーリングによって得られる感覚の違いについて明らかとする。
29   寒冷地におけるLCCO2マイナス住宅の通年測定を通じた実証研究 (その4) 住居スタイルによるエネルギー消費量の比較
    ※金政一(東京理科大学),太田勇,東山純也(株式会社ミサワホーム総合研究所)
     寒冷地である旭川市に建つLCCO2マイナス住宅において実居住環境のも とで通年実測を行っている。各用途別エネルギー消費量および冷暖房・給 湯設備機器の効率を分析し、住居スタイルによる設備機器の設定およびエ ネルギー消費量の差異を検討した。
30   住宅用セミオフグリッド太陽光発電システムの構築と実証試験
    ※岡村遼斗,松尾廣伸(静岡大学),赤松重秀(株式会社AKAMATSU)
     海外製の安価なハイブリッドインバータを用いて、法的に問題のない経済的な住宅用セミオフグリッドシステムを構築し、実証試験を行った。その結果、オール電化住宅の全負荷バックアップにおける単相三線動作における問題はないものの、初期のシステムにおいては、システム全体の効率が低く、最大電力点追従制御、蓄電池(48V系)からのDC/AC変換、トランスによる単相三線化において効率が低いことが明らかとなった。
31   里山環境下にある古民家を改修した木造建築における温熱環境評価 (第一報) 建築概要と冬期から夏期の計測結果
    ※本坊雅樹,西川豊宏(工学院大学),丸谷博男(株式会社エーアンドエーセントラル)
     本研究は、東京都町田市に所在する里山環境下にある古民家を改修した木造建築 (地域区分6)に計画されたコンクリート基礎の蓄熱効果と全熱交換器を併用した換 気システムについて、広縁周囲の熱移動と室内の温熱環境を計測データに基づき 評価するものである。本報では対象となる建築の概要と冬期から夏期にかけて収 集した計測データから温熱環境の推移について報告する。
32   旧弘前市立病院における前川國男の環境調整手法と室内温熱環境
    ※長内勇樹,宮岡大(日本大学)
     青森県弘前市には、建築家前川國男が設計した建築物が多く存在する。その中でも旧弘前市立病院は、従来の病院としての役割を終え、現在改修が計画させている。改修の際は、省エネ等の環境面と同時に前川國男の設計意図に十分配慮しながら計画をすることが望ましい。そこで、本稿では旧弘前市立病院を対象に、前川國男の環境的アプローチの調査を踏まえ、実測とシミュレーション計算から温熱環境の効果を検証することを目的とする。

ポスターセッション(14:20-15:10)

P1   単結晶Si太陽電池セルの曲げ試験 : IBCセルとPERCセルとの比較
    ※PHAMPHUONGTRANG,宮下幸雄,山田昇(長岡技術科学大学)
     運輸部門のCO2削減と利便性向上のため,車載太陽電池が研究開発されている.単結晶Si太陽電池セルは脆性材料であり割れやすいため,自動車などの曲面に適用する際には曲げ強度を把握する必要がある.バックコンタクト型セル(IBCセル)はセル表面にバスバー等がないため,通常のPERCセルに比べて曲げに強い可能性がある.そこで本研究ではIBCセルおよびPERCセルの曲げ試験等を行い、機械的強度を定量的に比較した結果を報告する .
P2   強化学習による一軸追尾両面PVアレイの角度制御特性【奨励賞(学生部門)】
    ※Andrea Burciaga Jimenez,本舘慶一,土田脩斗,山田昇(長岡技術科学大学)
     起伏や日射環境の変化が大きい場所での発電量向上,営農型における発電と作物収量の両立などの複雑な要求において一軸追尾両面PVアレイの角度を最適制御する方法を研究している。本研究ではAIの一種である強化学習アルゴリズムを用いて隣接アレイの影を考慮した条件下での学習特性をシミュレーションとミニPVアレイによる実験を行った結果について報告する。
P3   雪国におけるNEHの普及に向けたコスト評価
    ※小林勇貴,武樋孝幸(長岡工業高等専門学校)
     再生可能エネルギーの一般家庭での導入が求められるが、費用対効果が課題となっている。また、近年のエネルギー価格の変動は費用対効果に変動をとたらしている。そこで本研究では、ZEH(net-Zero Energy House)の実現に向けてのコスト評価を目的とする。長岡市のアメダスの気象データをもとにして資源エネルギー庁等のデータを参考に各エネルギー自給率での費用対効果を計算した。
P4   宮城県川崎町のエネルギー地産地消を目指す宿泊施設の性能評価
    ※水澤隆良,吉川修一,武樋孝幸(長岡工業高等専門学校),中安祐太(東北大学)
     宮城県川崎町に再生可能エネルギーを使い電気の自給を目指す宿泊施設が建てられた。その宿の住宅の熱性能の評価や発電力と消費電力などをシミュレーションすることを目的とする。日射量などの過去の気象データを使って、太陽光パネルや太陽熱温水器で年間に作ることのできるエネルギーを求めた。消費電力は日本の平均的な値を使う。これらから消費電力と発電量の関係で自給率を求める。
P5   モバイルユニットのレジリエント仕様の検討
    ※湯淺惇(株式会社ミサワホーム総合研究所)
     災害時の応急仮設住宅への利用を想定したモバイルユニットにおいて、系統電力にすべて依存せずに年間を通して生活できる、建物の断熱仕様や設備仕様のスペックをシミュレーションを通して明らかにしました。
P6   農家におけるメタンガスの燃料利用の検討
    ※浅野すず,武樋孝幸(長岡工業高等専門学校)
     農業をするうえで排出されるCO2削減のため、農家で出る有機性廃棄物から精製したメタンガスを燃料利用することの実現性を評価することを目的とする。従来ガソリンや電気で動かしていた農機具の燃料にメタンガスを利用することで削減できる燃料の量を計算し、個々の農機具への利用の実用性を調査した。
P7   家庭排熱を利用した融雪量の計算と評価
    ※古川聖也,長谷川柊太,武樋孝幸(長岡工業高等専門学校)
     降雪地帯の積雪時に割かれる時間や労力、また除雪機の燃料を抑えるために、日常生活で発生する排熱や太陽熱を融雪に利用することを目的とする。一般家庭で、太陽光発電、太陽熱温水器、薪ストーブ、給湯から発生する排熱を熱源とし、アメダスのデータをもとに、融雪できる量を計算し、評価した。
P8   有機キノン電池の最大出力の電極面積依存性
    ※岡田大輝,田村文裕,武樋孝幸(長岡工業高等専門学校),中安祐太(東北大学)
     電極材に金属を用いない電池として有機キノン電池が近年開発された。しかし、その特性に未知の点が多い。そこで本研究では、電極面積依存性を調べることを目的とする。厚さ均等で電極表面積を変えた電池を作製し、電流を変化させながら放電し、それぞれの放電電力の最大値を計測した。その結果、電極面積を倍にしても最大電力は倍にはならず、正比例の関係にはない事がわかった。
P9   衣服への登載に向けたフレキシブル熱輸送デバイスの検討
    ※三木勇太,山田昇(長岡技術科学大学)
     省エネに貢献するウェアラブル空調の実現を目的として、衣服の中で冷熱または温熱を人体に伝達する方法としてフレキシブルヒートパイプおよび高熱伝導シートの熱輸送性能を比較し、効果的な方法について検討した結果を報告する。

 

11月17日(金)

セッションA3(9:10-10:30):太陽光発電(1)

33   FIT太陽光発電の導入・認定地点における土地利用形態に関する調査
    ※加藤丈佳,志村征輝,山内貴翔,占部千由(名古屋大学)
     太陽光発電の主力電源化のためには、工場屋根や耕作放棄地など様々な導入形態について導入量の拡大が必要であり、導入形態に応じた対策が必要である。そのような検討における基礎データとして、土地利用細分メッシュデータおよびに衛星画像を用いて、FITで導入・認定された太陽光発電の導入地点における土地利用形態を調査した。その結果に基づき、太陽光発電が連系する電圧階級別に導入地点の土地利用の傾向を整理した。
34   GISを用いたPV向けの人工林の樹齢を考慮した適地検討【奨励賞(学生部門)】
    ※高橋沙里,伊藤雅一(福井大学),吉富政宣(有限会社吉富電気)
     太陽光発電(PV)を山地に設置することは,景観劣化・土砂災害等の懸念から抵抗がある.しかしカーボンニュートラルへ向けて,PVの主力電源化には更なる導入が必要である。本研究では変電所からの位置や地質,傾斜などを考慮しながら,景観を損なわず,環境・生態系を涵養するPVの設置方法の検討を行っており,ここでは収穫期を過ぎた人工林に着目し,新たな設置ポテンシャルの評価付けを行ったので報告する。
35   太陽光アレイ用基礎杭の補強技術の開発
    ※木村尭,宇賀神修一,古部悟,斉藤聖司(日本地工株式会社)
     昨今の異常気象により太陽光発電設備の飛散被害が増加しているが、その要因の多くは支持物の設計不備によるものである。中でも強風等により基礎杭が引き抜ける被害が増加しており、基礎から引き抜けてしまうと甚大な被害に繋がる可能性がある。そこで、設計不備が多いと考えられる既設発電所を対象とした基礎杭の引抜け対策として、狭小箇所でも施工可能な専用アンカーを用いた補強工法を開発した。
36   雪国における垂直両面受光太陽電池の発電特性の調査
    ※土田脩斗,佐藤大輔,山田昇(長岡技術科学大学),津野裕紀,大関崇(産業技術総合研究所)
     豪雪地帯では積雪による発電量低下や太陽電池モジュールの破損リスクがあるため太陽光発電の普及が遅れている.本研究では最大積雪深さが1mを超える新潟県長岡市に垂直設置された両面太陽電池アレイの発電特性に関する実験および解析結果を報告する.

セッションA4(10:40-12:00):太陽光発電(2)

37   RE100データセンターにおけるCPU負荷制御による太陽光発電と蓄電池の所要容量削減効果
    ※大野 駿一,重信 颯人,伊藤 雅一,木村 欣司(福井大学)
     データセンター(DC)の消費電力増加が懸念されており,今後DCの電力消費は10年で10倍になるとの試算もある.再生可能エネルギー(再エネ)利用割合を増やす必要があるが再エネ出力が変動する点が課題である.ここで太陽光発電(PV)のみの再エネ100%と出力変動への対応のため蓄電池の利用を想定し,充放電には数理計画法を用いたDC計算速度最適化手法を提案する.本稿では,温度制約を加えた最適化シミュレーションを実施し,本手法の有効性を検証した.
38   Fuzzy logicを用いて曖昧性を考慮した蓄電池充放電制御の検討
    ※吉田 愛恵,植田 譲(東京理科大学)
     本研究では、簡易的なルールベースを使用し、晴天指数とFuzzy Logicを組み合わせて蓄電池の充放電量を最適化します。天候の良さを評価し、曖昧性を考慮した制御ルールを設定します。PV発電量や工場の需要量を入力データとして蓄電池充電量を適切に調整し、自家消費を最大化しつつ需要に応じた放電を行います。これにより、効率的な電力管理を実現し持続可能なエネルギー利用に貢献します。
39   PV・蓄電池併設無線通信基地局による自己託送とデマンドレスポンス併用に関する基礎的検討
    ※仲戸川航,若尾真治(早稲田大学),角谷昌恭,中村祐喜(株式会社NTTドコモ)
     近年、無線通信基地局の運用において環境性や耐災害性の向上を目的として蓄電池と太陽光発電(PV)を併設したグリーン基地局の検討が行われている。このグリーン基地局の経済性の向上策として、PV電力を活用した自己託送によるグリーン基地局間の電力融通やDR(デマンドレスポンス)市場への参入が有効と考えられる。本稿では、自己託送を行いつつDR参画時の失敗低減を目指したエネルギーマネジメント手法に関して基礎的な検討を行う。
40   PV大量導入時の基幹系統における系統用蓄電池の混雑緩和効果に関する分析【奨励賞(学生部門)】
    ※加藤大樹,森友輔,若尾真治(早稲田大学),山嵜朋秀,豊嶋伊知郎,犬塚直也(東芝エネルギーシステムズ株式会社)
     近年、PVの電力系統への大量導入により、送電線に流れる有効電力潮流が運用上の上限を超えてしまう系統混雑の発生が懸念されている。これに対して、系統混雑の緩和等を目的として、系統に単独で直接接続する系統用蓄電池の導入が進められている。本稿では、メソ数値予報モデルGPVの日射量予報値から予測したPV出力に基づく最適潮流計算結果に対し、系統用蓄電池の有無が混雑緩和に及ぼす効果について定量的に分析する。

セッションA5(13:00-14:20):太陽光発電(3)

41   クラスタ故障を含むストリングの異常を検出するロジスティック回帰を用いた故障検出の実機検証
    ※石倉規雄,佐々木響希,齋木翼(米子工業高等専門学校),藤井雅之(大島商船高等専門学校),桶真一郎(津山工業高等専門学校),南野郁夫(宇部工業高等専門学校),濱田俊之(大阪電気通信大学)
     近年,太陽光発電の急速な普及に伴い,システムの老朽化に加え,事故や火災につながる故障が増加しており,これらを防ぐための保守・点検に係るコスト低減が課題である.本研究では,多変量解析の一種であり演算負荷の小さいロジスティック回帰分析を用いた機械学習の手法を提案し,保守・点検の簡易化を目的としている.本発表では,太陽光発電システムの実測データを用いて学習を行い,提案手法の有効性を検証したので報告する.
42   絶縁劣化診断機能を搭載したPV遠隔安全診断システムの検証
    ※戸田祐介,池田輝雄(株式会社アイテス),有松健司(東北電力株式会社)
     我々は太陽電池発電設備における直流部の異常を診断するシステムを開発してきた。本システムは太陽電池モジュールにおけるバイパス回路,セルストリング回路,および絶縁性能の健全性をストリング単位で電気測定し診断するものである。今回,実際のサイトにおいて本システムを設置し,各種機能の検証を実施したので報告する。
43   フラッシュ光照射時のキャパシタ電圧と出力電流に基づくストリング接続されたPVモジュールの不具合診断【奨励賞(学生部門)】
    ※柿本伸之介,倉持汰翔,小川大士,田中正志(茨城大学),乾義尚(滋賀県立大学)
     本研究では、フラッシュ光照射時のキャパシタ電圧とモジュール出力電流測定の両方を基にストリング接続されたPVモジュールの中から劣化PVモジュールを検出する不具合診断法を提案する。この提案の実現性を確認するため,計算と実験を行い,提案手法は測定電流により直列抵抗と表面汚れの劣化を判別できる一方で,キャパシタ電圧により直列抵抗や表面汚れの劣化度やバイパスダイオードの故障を検出できるとわかった。
44   赤外線カメラによる太陽電池モジュールのバイパス回路の開放故障検出技術―2箇所故障時の印加電圧の大きさの影響―
    ※千脇 伸仁,西川 省吾,河村 健一,神谷 拓杜(日本大学)
     バイパス回路の開放故障位置を検出する技術開発を目的として,筆者らはこれまでストリングに周期性のある電圧を印加し,赤外線カメラでモジュール温度の変化を観察する方法で,低日射でも故障位置を検出する技術を開発してきた。本論文では,2箇所同時に故障した場合を模擬した実証試験を行い,ストリングへの印加電圧の大きさ及び日射強度が故障検出に与える影響を調査したので報告する。

セッションA6(14:30-16:10):太陽光発電(4)

45   実使用されている5種類の太陽電池の12年間の発電性能の経時変化
    ※石井徹之(一般財団法人電力中央研究所),千葉恭男,秋冨稔,佐藤梨都子,崔誠佑(産業技術総合研究所),増田 淳(新潟大学)
     2022年度までに、太陽光発電は発電設備としてACベースで約65 GW導入されている。本研究では、2010年10月に産業技術総合研究所九州センターに導入された5種類の太陽電池の長期信頼性について、2023年3月までの評価結果について報告する。
46   小規模太陽光発電所の経年劣化と出力抑制による逸失電力量の比較
    ※安田陽(京都大学),奥山恭之(株式会社エナジービジョン),大門敏男(一般社団法人新エネルギーO&M協議会)
     日本の出力抑制レベルは国際比較をすると適切なレベルに留まっているが、出力抑制による逸失電力量が経営に影響する可能性なども指摘され、深刻視されることが多い。一方、筆者らが集計した200以上の小規模太陽光発電所の時系列データを分析すると、不適切なメンテナンスによる逸失電力量は無視できず、発電所によっては出力抑制より深刻なレベルに達している。本報告ではこの2つの観点から逸失電力量の期待値を評価する。
47   ストリングI-Vカーブおよび参照基準との差分微分データを用いたしきい値によるPVシステムの不具合判定
    ※木下温希,植田譲(東京理科大学)
     太陽光発電システムの採算性の確保と安全運用のためには定期的な点検を行い,不具合を発見することが重要である。本研究では,I-Vカーブデータを用いてストリングの不具合を自動判定する手法を提案する。測定したI-Vカーブと銘板値相当の発電性能を示す参照基準I-Vカーブを比較することで差分データを取得する。この差分データに対して,不具合の特徴がより明確となるように微分処理を加え,作成したしきい値より判定を行う。
48   部分影が生じた過積載太陽光発電システムにおけるI-V特性と動作点との関係
    ※桶真一郎,澤田直弥,平田航(津山工業高等専門学校),濱田俊之(大阪電気通信大学),南野郁夫(宇部工業高等専門学校),石倉規雄(米子工業高等専門学校),藤井雅之(大島商船高等専門学校)
     太陽光発電システム(PVS)の発電電力の低下に注目した故障検出手法が提案されている。一方で,パワーコンディショナの容量よりも太陽電池アレイの定格の方が大きい過積載PVSにおいては,一部のセルやモジュールに不具合が生じても発電電力が低下しない場合がある。本報では,運転中の過積載PVSに出力低下を模擬した部分影を発生させた場合の動作点の変化の様子を報告する。
49   ソーラー無人航空機の飛行時間推定に向けた発電電力量シミュレーションに関する研究
    ※石綿大樹,木村英樹,佐川耕平,新井啓之(東海大学)
     ソーラー無人航空機は太陽電池を搭載し、飛行中にエネルギーの補給が可能であるため長時間の連続飛行が可能である。本研究はソーラー無人航空機の飛行時間推定手法の確立を目的とした。飛行時間を推定するためには、飛行姿勢や搭載した太陽電池モジュールが向く方位や、傾斜角、セル表面温度などの変化を考慮した発電電力量の推定が必要であり、これらを考慮したシミュレーションモデルを構築し評価した。

セッションB3(9:10-10:30):PVセル・モジュール

50   施工方法を考慮した薄膜太陽電池モジュール温度の高精度評価
    ※小沼大河,村上礼雄,馬場好孝(東京ガス株式会社)
     薄膜太陽電池の施工法の1つに、接着剤による屋根への接着工法が挙げられる。接着剤による施工は従来の施工法に対し安価で簡便である一方で、太陽電池と屋根の距離が近くなることから、太陽電池温度が屋根の影響を受ける可能性がある。そこで本研究では屋根材の種類や屋根との距離による太陽電池の温度や発電量への影響を実験と解析の両方から評価する。
51   屋外実験に基づく太陽電池セル温度および表裏面熱流束の算出と検証
    ※守田雅章,松尾廣伸(静岡大学)
     太陽電池発電時のセル温度算出を目的とし,エネルギーバランスを基にPVパネル表裏熱流束を電熱モデルより算出した.通常のパネルと裏面断熱したパネルで発電実験を行い,日射,発電,温度データからパネル熱抵抗,セルからの放熱量,セル温度を算出し基準値との比較を行った.太陽光スペクトルによる入力エネルギー変化を考慮した場合,発電効率の誤差率は±0.80%となり,セル温度算出を行った際±1.6℃の誤差となった.
52   多点測定可能なI-Vカーブ測定機を用いた有機薄膜太陽電池の特性評価【奨励賞(学生部門)】
    ※濵健斗,渡邊康之(公立諏訪東京理科大学)
     脱炭素社会に向け,次世代太陽電池が注目されている.その中の1つである有機薄膜太陽電池 (OPV) は軽量,柔軟性,および波⻑選択性を特徴としている.このようなOPVの特性を活かして,発電と植物栽培を両⽴できるソーラーマッチングの実⽤化に向けた研究を⾏っている.本研究では,ソーラーマッチングに適した蓄電システムを構築するために安価で多点測定可能なI-Vカーブ測定機を作製し,様々な光環境下でOPVの発電特性を評価した.
53   宇宙用マイクロ集光型太陽電池の光学-熱設計
    ※須田陸斗,島田恭祐,土田脩斗,佐藤大輔,山田昇(長岡技術科学大学),奥村哲平,中村徹哉(宇宙航空研究開発機構)
     III-V族多接合太陽電池は宇宙機の主要な電力源であるが,木星や土星などの低日射量・低温(LILT)の環境下では発電性能が低下することが知られている.集光型太陽電池(CPV)を用いることでセル面放射照度とセル温度を高めることができ,LILT環境での性能劣化を緩和できる可能性がある.本研究では,光学-熱解析により性能や構造等の面から深宇宙環境での使用に適したマイクロCPVモジュールの設計仕様を明らかにする.

セッションB4(10:40-12:20):太陽光発電(5)

54   太陽電池モジュールストリングの各種対地絶縁抵抗測定法の等価回路的解釈(復習)と開放法における対地絶縁抵抗算出方法の紹介
    ※加藤和彦(産業技術総合研究所)
     屋外での太陽電池モジュールストリングの対地絶縁抵抗測定にはいくつかの方法があるが、それら各方法に関する等価回路を用いた解釈や比較が行われた文献・資料はみあたらない。そこで、本発表ではそれを試みるとともに、開放法によって得られた二つの測定値から対地絶縁抵抗を算出する方法を紹介する。
55   PVストリングで測定される対地電圧の時間応答の近似式
    ※池田一昭,大関崇(産業技術総合研究所)
     太陽光発電設備の保守点検等において実施される太陽電池モジュールストリングの対地電圧測定において,計測される電圧値は計測開始時から時間と共に減衰しながら収束するが,その減衰過程は設備や気象により変動する。本報では,電圧の時間変化を指数関数項,時間のべき乗項,定数項の3項の和で表現し,各項の係数の変化により複雑多様な減衰過程を近似する手法を試みた結果とその応用について述べる.
56   PVストリングの絶縁抵抗測定の時間短縮
    ※髙島工,池田一昭(産業技術総合研究所)
     太陽電池ストリングの絶縁抵抗の測定時間の短縮方法を検討した。対地電圧の経時変化を近似する関数を用いて短時間の測定値から対地電圧の60秒値を推定し、絶縁抵抗の60秒値を算出した。100MΩの絶縁抵抗に対して、16秒の測定値を用いて絶縁抵抗の1分値を誤差15%で推定できることを確認した。
57   自己バイアス法によるPVストリングの対地絶縁抵抗測定における被測定回路の挙動改善方法の提案
    ※風間拓朗(筑波大学),加藤和彦(筑波大学/産業技術総合研究所)
     PVストリングの対地絶縁抵抗測定法の一つである自己バイアス法に関し、これを常時監視に適用した場合に対地電圧測定回路が被測定回路に与える及ぼす安全面への影響を等価回路を用いて考察し、この改善が可能な測定回路構成と測定法を提案する
58   水上設置型PVSの絶縁抵抗観察
    ※池田一昭,髙島工,大関崇(産業技術総合研究所)
     香川県のため池に設置された水上太陽光発電設備において,設備の電気的特性測定および設備近傍の気象観測を2022年2月から1年7ヶ月余り行った結果,設備の絶縁抵抗値の変動が気温と正の相関を示し,容積絶対湿度と負の相関を示す傾向が明らかになった.この結果から絶縁抵抗値の日変動や季節変動について定性的な解釈を行い,絶縁抵抗のモニタリングに適当なタイミングについて検討した結果を述べる.

セッションB5(13:20-14:40):太陽光発電(6)

59   いすみ市地域マイクログリッド電源を活用した日常運転方法
    ※宮本 裕介,喜舎場 朝士,秋吉 亮佑,石橋 一成(株式会社関電工)
     株式会社関電工は千葉県いすみ市に地域マイクログリッドを導入し、2023年2月に運開した。電源構成は、太陽光発電、蓄電池、LPガス発電機である。マイクログリッドは非常時の運用方法について議論が進んでいるが、常時の電源利活用についても検討が必要であることから、いすみ市における現在の運用方法について紹介する。
60   再生可能エネルギーだけで構築される実験用マイクログリッドの構築と運用シミュレーション
    ※野田靖仁,松尾廣伸(静岡大学)
     大学構内に、ディーゼル発電機(バイオディーゼル),太陽光発電および蓄電システムからなる小規模な実験用マイクログリッドを構築した。タンザニアの農村部を想定して蓄電システムの導入シミュレーションを行った結果、住宅用負荷において,60kW 2台での運用と比べて120kW 1台に蓄電池を組合せた場合の方が年間使用燃料を13.2%,総コストを12.5%改善できることが明らかとなった。
61   PV出力の安定化に向けたEVの導入に関する実験的検討
    ※田中蒼,後藤卓弥,西谷強,雪田和人,七原俊也,後藤泰之(愛知工業大学)
     近年,発電分野におけるカーボンニュートラル実現に向け,再生可能エネルギー発電として太陽光発電の普及が進められている。需要家側においてもEVの普及率が大きく拡大してきている。そして,EVは再生可能エネルギー発電に必要不可欠な蓄電池として活用することが可能である。そこで本報告では,EVを蓄電池として導入した際,太陽光発電の出力に与える影響について実験を行った際の結果を示す。
62   住宅用リチウムイオン蓄電池のシミュレーションモデルによる劣化率および放電量の変化
    ※小川雄気,木村湧哉,松尾廣伸(静岡大学)
     リチウムイオン電池の劣化度合い把握の一助とするために,年1%定量劣化、放電量従量劣化、サイクル経年劣化の3種のモデルを用いて,浜松市の一般住宅を想定した15年充放電シミュレーションをPV設置量および蓄電池容量をパラメータとして行った。その結果,従量劣化モデルは年1%劣化と比較して、PV設置量が増加し蓄電池容量が減少するほど劣化率が、蓄電池容量が増加するほど総放電量が増加することが明らかとなった。

セッションB6(14:50-16:30):太陽光発電(7)

63   商品配送車としてのPVEVの有用性検討 その2 : 実運用上における課題
    ※水野英範,棚橋克人,髙島工,大関崇(産業技術総合研究所)
     PVを搭載したEV(PVEV)は、今般のカーボンニュートラル化の推進・運輸部門のCO2排出量削減に貢献できるものと期待される。我々は、クルマの中でも商用車をターゲットにPVEVの可能性を検討しており、昨年度は地元(福島県郡山市)のスーパーマーケットが実施している商品配送サービスにPVEVを導入することを想定した実証データについて紹介した。本発表では、実証データの分析から見えてきたPVEV実運用上の課題について述べる。
64   PVEVの開発
    ※水野英範,棚橋克人,髙島工,大関崇(産業技術総合研究所)
     PVを搭載したEV(PVEV)は、今般のカーボンニュートラル化の推進・運輸部門のCO2排出量削減に貢献できるものと期待される。我々は、クルマの中でも商用車をターゲットにPVEVの可能性を検討しており、その一環としてコミュニティバスとしての利用・実証走行を想定したバンタイプ(10人乗り)PVEVを開発した。本発表では、その仕様や初期的な性能評価について紹介する。
65   GISを利用した車載PVシステムの発電電力量推定における DSMの解像度による影響評価
    ※大関崇,水野英範,髙島工,棚橋克人(産業技術総合研究所)
     GISを利用した車載PVシステムの発電電力量推定に関して研究を行っている。本手法で利用するためのDSMデータの解像度の違いによる影響について評価を行った結果を報告する。
66   太陽光発電システム搭載電気自動車の数理計画法を用いた充放電最適化
    ※川淵遼太郎,重信颯人,伊藤雅一(福井大学)
     近年,CO2排出削減の観点よりmガソリン車から電気自動車(EV)への転換が世界的に進んでいる.筆者らはガソリン車の電動化によるCO2排出削減効果の検討として,太陽光発電システム搭載電気自動車(PVEV)のライフサイクルアセスメントを実施してきた.本研究では,PVEVの充放電方法として数理計画法による最適化を行い,CO2排出量の評価を行う.
67   電動車両に配置した太陽電池の損失要因を考慮した発電量推定とその運用に関する研究
    ※宇都一朗(東海大学)
     著者らはこれまで気象衛星画像を用いた短時間先予測技術の開発を行ってきた。数時間程度先までの日射量予測では、主に雲の移動が主体であるが、予測時間が長くなると雲の生成・消滅の影響が大きくなる。また、予測モデルを高精度化しても予測誤差は生じるため、予測誤差を考慮した確率論的予測情報の開発も重要となる。本研究では、上記の課題に関して、NEDO事業で取り組んでいる日射量予測技術の高度化の取り組みについて報告する。

セッションC3(9:10-10:30):太陽熱利用Ⅲ

68   ソーラー炭酸ガス熱化学分解のシステム解析
    ※小山佳子,中倉満帆,松原幸治(新潟大学),浅岡龍徳(信州大学),Kent Warren,Alan Weimer(コロラド大学ボルダー校)
     セリアとヘルシナイトを反応物質として用いた場合の、ソーラー炭酸ガス熱化学分解のシステム解析を行った。固体間の熱回収を行わず、排ガスから熱回収を行う場合を想定した。還元反応温度を1400℃として、酸化反応温度を様々に変化させ、太陽エネルギーから燃料までのエネルギー変換効率を計算した。結果、排ガス熱回収を行う場合は、ヘルシナイトの方が、セリアよりもエネルギー変換効率が上回ることなどを見出した。
69   実験室規模の7kWeソーラーシミュレーターの開発と熱流束の測定
    ※北沢篤志,中倉満帆,松原幸治,児玉竜也,籏町剛,Selvan Bellan(新潟大学)
     2段階熱化学サイクルは、太陽光を貯蔵、輸送可能な化学燃料に変換する有望な技術である。 この研究では、太陽燃料生産と熱エネルギー貯蔵用途の研究のために、実験室規模の低コスト高磁束シミュレータを開発した。シミュレータは、7kWe キセノンアークランプで構成され、楕円形状の反射鏡に結合されている。 さらに、19灯式の30kWthの大規模高磁束シミュレータを用いて、様々な条件下で熱流束を測定した。
70   次世代太陽熱発電における金属系潜熱蓄熱体としてのAl-Si系合金の蓄熱性能
    ※鎌田匠,湯澤太晟, 籏町剛,郷右近展之(新潟大学)
     次世代太陽熱発電の金属系潜熱蓄熱材料として、Al-Si系合金を選択し、蓄熱材料としての性能の評価を行った。DSCによる比熱や融解潜熱、LFAを用いた熱拡散率、TMAによる熱膨張率などの熱物性の測定や、熱サイクル試験による蓄放熱挙動の評価を行った。また、合金を蓄熱材料として使用する際は容器に収容する必要があるため、容器材料の候補と合金との高温反応性試験を行い、容器材料の選定を行った。
71   複数の傾斜角度に対応したループヒートパイプ式太陽熱利用デバイスの実証
    ※浜田蓮,西川原理仁,横山博史(豊橋技術科学)
     ループヒートパイプ(LHP)は、流体の相変化を利用して蒸発器から凝縮器へ熱輸送を行うデバイスである。本研究ではLHPを利用して無電力で太陽熱を集熱・輸送するシステムの構築を目標とする。太陽熱の集熱を最大限にすることができるようにLHP蒸発器は複数の傾斜角度に対応する必要がある。そこで、ヒータを代替熱源とする試作品で傾斜角度を変化させた実験結果を報告する。

セッションC4(10:40-12:20):バイオマス・風力・水力

72   高含水バイオマス資源利活用に向けた下水汚泥燃料化の検討
    ※山本薫平,秋元祐太郎,岡島敬一(筑波大学)
     高含水バイオマスは再生可能なエネルギー資源として有用であり、エネルギー供給源の多様化や安定化に貢献する可能性を秘めている。しかし、燃料として実用化できるレベルまで効率的に含水率を下げる必要があり、本研究では、高含水バイオマスとして含水率80%である下水汚泥を対象に含水率20%まで乾燥させる下水汚泥乾燥システム構築を試み、下水汚泥燃料化について検討した。
73   光透過型有機薄膜太陽電池を用いたオイル産生藻類培養の検討【奨励賞(学生部門)】
    ※二木達朗, 渡邊康之(公立諏訪東京理科大学)
     脱炭素社会実現に向け、光合成の代謝産物としてオイルを産生する微細藻類が注目されている。微細藻類を用いた燃料は、従来燃料と比較して生産コストが高く、生産コストの低いオープン型では、強光時に光合成の阻害が引き起こされる。光透過型有機薄膜太陽電池(OPV)は発電に加え、遮光作用、波長選択性を持つ。本研究ではOPVを用いた発電とオイル産生藻類の培養の両立を目指し、オイル産生藻類の培養に適したOPVの検討を行った。
74   四重筒自然給気型高効率バイオマス燃焼器を用いた木質ペレットの燃焼に対する旋回煙突効果体の燃焼に及ぼす効果と輝炎中の煤発生領域
    ※塙藤徳(森林総合研究所)
     高効率かつ有害物質の排出を抑制した木質バイオマスの燃焼装置の開発をめざし、これまでに四重筒自然給気型高効率バイオマス燃焼器による木質ペレットの燃焼性を試験し、これまでの自然給気型燃焼機に無い燃焼特性が見られる事を明らかにして来た。今回、当該燃焼装置に旋回煙突効果体を作用させた場合の燃焼性に対する効果、ならびに輝炎中の煤発生領域と当該効果体の関連について報告する。
75   風力発電におけるコーニング制御によるブレード形状の最適化
    ※枦山英史,平田陽一,加藤佳祐,岸空矢(公立諏訪東京理科大学),幸地保秀(有限会社日乃出建設)
     世界的に風力発電機の導入量が増加する一方で、日本は季節風や台風の影響により、安定した風状は見込めず、増加はしているものの微々たるものである。本研究では、羽根の角度を閉じることで、強風時に受風面積を減少し風車の破損を防ぎつつも発電を可能にするコーニング制御をマイコンを用いて電力一定制御で行う。また周速比4,5,6のブレードを用いて回転数に対する電力のデータを測定し、周速比ごとのデータの比較、特性調査を行う。
76   胸掛け衝動式水車の傾斜設置に関する検討
    ※本橋元,宍戸道明(鶴岡工業高等専門学校),内山知実,高牟礼光太郎(名古屋大学),池田敏(信州大学),岡山朋子(立正大学)
     著者らは水路の異物に強い水車として,水路落差工向けに胸掛け衝動式水車を開発している.この水車を組込んだピコ水力発電システムの発電機への浸水対策として,水車装置全体を数度傾斜させて設置することを考案した.実水路で運用した結果,浸水を完全に防ぐことが確認できた.さらに,傾斜設置をした際の水車出力特性を室内模型実験で調べたところ,傾斜が4度以下では出力低下は見られなかった.

セッションC5(13:20-14:20):気象・地球環境

77   機械学習処理による全天カメラ画像と気象パラメターの相関解析
    ※伊髙健治,舘山聖真,外崎滉大郎(弘前大学)
     日射予測や営農型太陽光発電用シミュレーションの直散分離にために、全天カメラと雨量計・日射計・アルベド計・気温・気圧が測定出来る気象計を設置してデータを取得した。機械学習処理によって、全天カメラ画像の分類を行い、雨量計・日射計・アルベド計・気温・気圧の気象データとの相関を調べた。
78   高解像度将来気候シミュレーションにおいて予想される日本における地表面日射量の変化の評価
    ※渡邊武志,岡和孝,肱岡靖明(国立環境研究所)
     地球温暖化による気候システムの変化が予想されており、地表面で得られる太陽エネルギーにも影響があると考えられる。この太陽エネルギーの変化を評価するために高解像度将来気候シミュレーションデータに含まれる地表面での全天、直達、および、散乱日射量の解析を行った。本発表では、日本における地表面日射量の変化と太陽光発電量の変化についての結果を示し、変化の特徴について議論を行う。
79   海から大気へのCO2逆流を加速するCCSとアンモニア燃料無限温暖化ループ
    ※鈴木高広(近畿大学)
     CO2を回収し地下へ貯留するCCSと、燃焼時にCO2を排出しないアンモニア燃料が新たな温暖化対策として推進されているが、両者とも温暖化を抑止できないどころか、植物プランクトンやサンゴが溶けて海からCO2が沸き出す海洋酸性化を加速する。CCSやアンモニア燃料が、地球の無限温暖化ループを誘発する兆候が既に現れていることを報告する。

セッションC6(14:30-15:50):応用利用・エネルギー貯蔵

80   電気自動車の運行状況を考慮したスマートコミュニティにおける需給運用のための時系列分析
    ※小幡晴起,川崎憲広(東京都立産業技術高等専門学校)
     再生可能エネルギーの増加によって電力系統の需給バランスが崩れることが懸念されている.そこでスマートコミュニティ(SC)と呼ばれる分散型エネルギーを活用した、ローカルな需給調整が注目されている.また近年では蓄電能力を備えた電気自動車(EV)もリソースの一つとして期待されている.そこで本研究では,SCにEVを導入した時の需給調整の効果を示すため,時系列解析を行い運用方法を模索していく.
81   日本国内での再生可能エネルギー大量導入時のVRE出力抑制の課題
    ※松原弘直(NPO法人環境エネルギー政策研究所)
     日本国内では太陽光発電中心に変動性再生可能エネルギー(VRE)の導入が進んだ結果、九州エリアでは2018年から、他の電力需給エリアでも2022年から出力抑制が開始された。再生可能エネルギー大量導入時のVRE出力抑制に関して電力需給データを九州エリアと他の需給エリア間で比較し、出力抑制の要因を分析する。VRE出力抑制を適切に低減し、再生可能エネルギー大量導入に向けた電力システムの課題について考察する。
82   移動型金属捕集発電システムのためのPVA架橋ゲル電解質に関するイオン伝導度および材料強度の評価
    ※葛西凌人,張晨陽,亀谷雄樹(千葉工業大学)
     金属捕集発電システムは、発電に必要な金属や酸素を外部から取り入れることでエネルギー密度を高めることができる技術である。本研究では移動型システムに適する電解質を開発するため、PVA架橋ゲル電解質を作製し、性能の定量評価を行った。その結果、架橋剤濃度に依存するイオン伝導度や材料強度の変化が明らかになった。移動型金属捕集発電システムに適したゲル電解質の性能向上により、長時間の機械駆動を目指していく。
83   大気中水分回収システムにおける集水量向上のための吸放湿剤や再生可能エネルギーの導入実験
    ※大西慶一朗,松尾廣伸(静岡大学)
     ペルチェ素子,空気式太陽集熱器(集熱面積0.135 m2),シリカゲル(乾燥重量670g),および模擬蓄熱槽からなる大気中水分回収システムを構築し,集水量向上のための実験を行った.その結果,外気取入口風速0.56m/sにて,周囲空気と比べて模擬蓄熱槽出口の温度上昇を最大21.6℃(実験日最大日射強度942 W/ m2)に抑えつつ,絶対湿度を最大8.58g/kg(D.A.)増加させられた.

セッションD3(9:10-10:30):建築分野シミュレーション

84   空調発停のあるオフィス温熱環境のCFD解析に関する研究
    ※井上伶菜,酒井孝司(明治大学)
     本研究では,自然エネルギーを活用したオフィスのCFD解析を最終目的に,オフィスの温熱環境の要素の一つである空調の発停を再現し,より快適なオフィスの室内環境構築を目的として非定常解析の簡略化,解析結果の有効性を検証する。本報では,暖房使用時のオフィスの室内空間を想定し,空調機の温度制御を行いCFD 解析を実施,発停の再現性,有効性を検証する。
85   ダイレクトゲインを採用した居室の非定常CFD解析
    ※山田雄介,酒井孝司(明治大学)
     日本の住宅において、高断熱・高気密化が進められており、これらの住宅にパッシブ技術のひとつであるダイレクトゲイン方式を適用することで、日射熱を用いた暖房負荷低減や、昼夜の温度変化抑制など、快適性と省エネルギーの両立を図ることができる可能性がある。本報では、床に蓄熱材を設けた高断熱の居室に日射が入射した際の、室温変動や各部材の温度変動を、非定常CFD解析を用いて行うことで、詳細な室内温熱環境の把握を行う。
86   スカラー放射照度とPhoton Mapping法を用いた日射による熱的快適性計算手法の複雑空間への適用
    ※岡本俊英,大木知佳子,相賀洋(株式会社大林組),吉澤望,高瀬幸造,松田啓汰,藤田壮真(東京理科大学),谷口景一朗(東京大学)
     スカラー放射照度とは、空間内の微小球上の平均放射照度を示し、光環境評価におけるスカラー照度を拡張させた概念である。本研究ではスカラー放射照度とPhoton Mapping法を使い、入射日射が建築物内部の熱的快適性に与える影響を計算する手法を複雑な空間に適用した。本稿では実測値とシミュレーション値との比較を通し、その結果を報告する。
87   太陽光発電・蓄電池・電気自動車を連携させたZEH住宅の実証数値シミュレーションによる電気の自給自足可能性についての検討【奨励賞(学生部門)】
    ※佐藤廉,三田村輝章(前橋工科大学),田中和久,永井俊男,石田房嗣(株式会社石田屋)
     昨年の発表では、太陽光発電、蓄電池、電気自動車を組み合わせたシステムを搭載したモデル住宅を対象に実施した模擬電力負荷実験の結果について報告した。本報では、対象住宅の連携システムについて数値シミュレーションモデルを作成し、電気自動車の容量や走行の有無などの条件を変更した場合の電気の自給自足への影響について検討した結果を報告する。

セッションD4(10:40-11:40):建築関連技術

88   光透過型真空断熱材の圧力上昇を抑制する製造プロセスに関する検討【奨励賞(学生部門)】
    ※宮田天和,葛隆生,長野克則(北海道大学)
     本研究では、建物の窓の断熱材として簡便に設置できる光透過型真空断熱材(TVIP)について、圧力上昇を抑制するTVIPの製造プロセスを確立するため、蓄積法を応用した実験装置を構築した。この実験では、ストロー付きガスバリアフィルムを真空容器として用いた。さらに、結果を元に芯材の形状や圧力上昇を抑制する処理過程の最適化について検討した。
89   大学施設におけるナッジを用いた省エネルギー行動誘発に関する一検討
    ※西谷強,田中蒼,雪田和人,後藤時政,水野勝教,後藤泰之(愛知工業大学)
     近年,電気エネルギー分野では省エネルギー化が求められており,種々の電力消費機器の高効率化や消費電力の削減が要求されている。そのなかで機器に対するアプローチだけではなく,種々の電力消費機器を扱う人に対して情報を与えることによって省エネ行動の誘発,節電行動の促進を行う手法としてナッジが注目されている。本論文では大学施設においてナッジを用いた省エネルギー行動誘発のための実験的検討を行ったため報告する。
91   バイオミミクリー建築の事例調査と性能評価 文献調査の分析とSelf-Shading Wallの効果に関する数値シミュレーション
    ※光山武宏,三田村輝章(前橋工科大学)
     本研究は建築物におけるバイオミミクリーの適用可能性について検討を行う。バイオミミクリーとは自然物の形状などを模倣して工学に応用する手法である。本報では、バイオミミクリー建築の事例調査とその分析結果について示す。また、バイオミミクリー建築の性能評価のため、サボテンの形状を模倣したSelfShading Wallを適用した単室モデルの温熱環境などについて数値シミュレーションを行い、計算結果を考察した。