日本太陽エネルギー学会フェロー認定者(敬称略)

太陽光発電分野

  • 桑野幸徳(太陽光発電技術研究組合名誉顧問,大和ハウス工業取締役,元三洋電機社長)
  • 石原好之(同志社大学名誉教授)
  • 小西正暉(太陽光発電技術研究組合監事,元キヤノン,元徳島大学客員教授)
  • 中野昭一(クリーンベンチャー21社外取締役,元三洋電機)
  • 太和田善久(大阪大学招へい教授,大阪大学特任教授,元カネカ)
  • 小長井誠(東京工業大学名誉教授,東京都市大学特別教授)
  • 小林広武(電力中央研究所名誉研究アドバイザー)
  • 西川省吾(日本大学教授)
  • 南野郁夫(宇部工業高等専門学校教授,元オムロン)
  • 木村英樹(東海大学教授)
  • 若尾真治(早稲田大学教授)
  • 岡島敬一(筑波大学教授)
  • 植田譲(東京理科大学教授)
  • 桶真一郎(津山工業高等専門学校准教授)
  • 伊藤雅一(福井大学准教授,元早稲田大学准教授)

熱利用・冷暖房給湯分野

  • 小泉尚夫(東洋ソーラーシステム研究所,元東芝,元朝日ソーラー取締役)
  • 佐藤春樹(慶應義塾大学名誉教授,東京海洋大学客員研究員)
  • 秋澤淳(東京農工大学教授)
  • 秋元孝之(芝浦工業大学教授)
  • 山田昇(長岡技術科学大学教授)

パッシブ・低エネルギー建築分野

バイオマス・農業利用分野

光化学・電気化学分野

  • 荒川裕則(東京理科大名誉教授)
  • 田島右副(理化学研究所専任研究員,金沢工業大学客員教授)

気象・地球環境・風力・波力・その他の分野

各種実用化技術分野

  • 脇坂健一郎(フジキン執行役員,元三洋電機)
  • 盧炫佑(OMソーラー取締役技術部長,工学院大学客員研究員)

太陽光発電分野

桑野幸徳   太陽光発電技術研究組合名誉顧問,大和ハウス工業取締役,元三洋電機社長 2021.5.13-
 

「GENESIS計画計画の実現を確信」
 太陽エネルギー学会のフェローに選ばれたことを大変名誉に思い、関係各位に深く感謝申し上げます。私は1973年(約50年前)のオイルショックを契機に太陽電池の研究開発と実用化に関わり、アモルファスSi太陽電池を用いたソーラー電卓の開発、工業化を担い、その後、サンシャイン計画にも参画しました。地球環境問題が顕在化する中、1992年に初めての逆潮流ありの太陽光発電(PV)システムを自宅に設置して、PVの普及に多くの人と共に勤めてきました(約30年経ったこのシステムは順調に稼働中)。PVを始めとする再生可能エネルギーは、当初コスト高が課題でしたが、最近、発電コストを評価する指標である「均等化発電原価:LCOE」が従来の化石燃料などのコストを下回り、PVの普及は世界的に560GWにも達しました。私が1989年に提唱したGENESIS計画(世界の各地に太陽光発電システムを設置、ネットワーク化し人類のエネルギーを賄う)が実現する日も近いと思います。本学会の発展を期待してます。

石原好之   同志社大学名誉教授 2021.5.13-
 

「日本太陽エネルギー学会フェロー就任にあたって」
 この度、日本太陽エネルギー学会のフェローに認定いただき、光栄です。ありがとうございました。1980年代前半、ゼミ生の「これからは太陽エネルギーの時代ですよ」との言葉で、「牛にひかれて善光寺参り」の如く、全くの門外漢が太陽光発電システムに関する研究を始めました。2012年に大学を定年後もしばらくの間、日本大学西川先生との共同研究も、学生諸君と一緒に続けることができました。また、研究発表を通して日本太陽エネルギー学会とのかかわりができ、学会の仕事もお手伝いさせていただきました。この間、日本電機工業会から太陽光発電に関する用語規格の制定への参画を要請され、JIS C 8960「太陽光発電用語」の制定・改定に携わりました。その後、現在まで太陽光発電関係のJISの制定に、委員の皆様と一緒に努力しています。今しばらく、規格制定・改訂を通して、太陽光発電分野の発展に少しでも貢献できればと思っています。 

小西正暉   太陽光発電技術研究組合監事,元キヤノン,元徳島大学客員教授 2021.5.13-
 

「世界に遅れるな、大型洋上太陽光発電!」
 メーカーで太陽電池ビジネスを担当し、リタイア後も太陽光発電に関わってきました。最近は大型洋上太陽光発電に興味を持って調査を続けています。洋上と言えば、まずは皆さま悪天候を挙げられますが、2006年のレポートによると、鹿児島県で養殖生簀を守るために作られた「浮消波堤」が、台風に対して機能したと報告されています。波浪に関しては、頑丈な土台に載せるのではなく「波乗り太陽電池」を考えています。例えばフェリー乗り場などにあるゴムのボール(浮遊空気式防舷材)に乗せます。ワンサイト1GW(2.5km四方くらい)を100ヶ所作れば日本の電力の10~12%を賄えます。このような大型浮体は漁礁になります。土佐沖には土佐黒潮牧場ブイなるものがあり、効果が出ています。コストを心配する方もいらっしゃいますが、私の超楽観的な試算では10円/kWhくらいで、あと一歩です。 

中野昭一   クリーンベンチャー21社外取締役,元三洋電機 2021.5.13-
 

「再生可能エネルギーの利用拡大に貢献できる学会を目指して」
 私が三洋電機で、太陽電池に関わって40年以上になります。当時の太陽電池は電力用には使えませんでしたが、サンシャイン計画のもと、多くの人達の努力の結果、今では主要電力源の一つと言われるまでになりました。開発の過程では、各機関から研究成果が応物学会などで報告され、それが他の研究者に刺激を与え、開発の進捗を促すという効果がありました。学会の役割は大きかったと考えています。脱炭素社会に貢献を期待されている太陽光発電の向上には太陽電池、インバータ、蓄電池、環境保護など、多くの課題への取り組みが必要です。そのためには、気象、エネルギー消費、土木などを含む多方面の研究者が交流し、課題を広く論議できる場が不可欠です。本学会はそれができる開かれた学会を目指す必要があります。選んでいただいたフェローの一人として、再生可能エネルギー応用の加速に向けて、少しでも貢献できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

太和田善久   大阪大学招へい教授,大阪大学特任教授,元カネカ 2021.5.13-
 

「日本太陽エネルギー学会のフェロー就任挨拶」
 この度日本太陽エネルギー学会のフェローに認定頂き、光栄の極みです。1980年に太陽光発電分野の研究に転向して以来40年が経ちました。当時は100円/Wが目標で、その実現には薄膜Si太陽電池しかないとされ、まずはアモルファスSi太陽電池で8%の効率を達成すべく世界中でしのぎを競った時代でした。幸い1082年に8%を世界で初めて実現することができ、私の所属していた(株)カネカで民生用のアモルファスSi太陽電池のフィルムソーラを実用化しました。学会にも貢献すべしとして1985年頃に団体会員になりました。当時は応用物理学会で活動しておりましたが、実用面で関西支部のお世話をするようになり、日本太陽エネルギー学会の個人会員になって27年です。その後理事、副会長を務めた後、2014 年から2期4年間日本太陽エネルギー学会の会長を務めさせていただきました。今学会は、2050年カーボンゼロエミッションに向け太陽エネルギー利用技術すべてをカバーする学会としての革新が求められ ています。フェローとして,こうした革新に少しでもお役に立てればと思う次第です。

小長井誠   東京工業大学名誉教授,東京都市大学特別教授 2021.5.13-
 

「太陽電池セルからPVシステム研究へ」
 JSESに新規加入した1988年頃、太陽光発電は学術分野として、また新産業として立ち上げの時代であった。1994年に住宅用太陽光発電システムへの補助事業が始まると、太陽電池を設置した住宅を探し写真を撮るのが趣味となった。1998年、東京から大阪まで新幹線で移動する際、一度もうたた寝をすることもなく太陽電池付き住宅を探し続けた。富士川、浜名湖、岐阜のあたりで3軒見つけカメラのシャッターを切ったときの感動はいまでも忘れられない。それから20余年、2019年秋に中国・青海省ギガソーラー発電所を視察した際は、非常に大きな衝撃を受けることとなった。太陽電池はわが国が世界一ではなかったのか? 生産量、導入量は負けても技術は世界一でなければならない。いまでも日々、太陽電池のことばかり考えているが、最近は、ZEBへの適用などを考え、年間発電量を考えた太陽電池開発を目指している。

小林広武   電力中央研究所名誉研究アドバイザー 2021.5.13-
 

「太陽光発電の系統連系・利用技術の確立を目指して」
 大学の卒論研究から始めて約40年間、一貫して太陽光発電に関わる研究開発に携わってきました。石油ショックによる代替エネルギーのニーズが高まっていた学生の時に、太陽光発電に関心を持ったのがきっかけで、大学では多結晶太陽電池に関わる研究に取り組みました。その後、電力中央研究所において、太陽光発電を中心に、分散形電源の系統連系技術と利用技術の研究開発に従事し、これらの電力系統と調和の取れた円滑な導入に微力ながら貢献してまいりました。再エネ電源が国の主力電源として位置付けられた中、太陽エネルギー利用電源の電力系統への更なる大量導入と安定利用を実現するための技術課題はまだまだ多く残されており、今後とも、これらの実現に向けた活動を中心に、太陽エネルギー利用技術の発展に少しでも貢献できるように注力して行く所存です。

西川省吾   日本大学教授 2021.5.13-
 

「太陽エネルギー学会フェロー就任にあたり」
 この度は日本太陽エネルギー学会のフェローに認定いただき,感謝の言葉もございません。振り返ると,私が太陽光発電に初めて関わったころは,オイルショックの影響により,石油の代替エネルギー,いわゆる新エネルギーとして大々的に研究が行われていました。そしてオイルショックが過ぎ,しばらくすると今度は世界的に「地球温暖化」が問題視され,二酸化炭素の排出削減への手段として,世界的に導入が進められ,現在もますます加速されています。一方,研究内容も時代とともに変化してきました。私の専門分野はシステム関連ですが,最初のころは高効率・低コストシステムの構築が目標でした。しかし,現在では故障検出など保守に係る研究開発がメインです。さらに時代が変わると,まだまだ変わるかもしれません。太陽光発電が社会から必要とされる電源であり続けられるよう,微力ですが今後も貢献したいと思います。 

南野郁夫   宇部工業高等専門学校教授,元オムロン 2021.5.13-
 

「よりよい社会のため、太陽光発電の健全な普及を!」
 この度は、フェローの称号を授与いただきありがとうございます。宇部高専の学生と一緒に研究した成果と、中国地区高専太陽光発電研究会(PVKnet)およびオムロン㈱等との研究成果が本学会から認められたものだと思います。南野研学生とPVKnetと企業等の関係者に深く感謝いたします。
 フェロー称号授与理由の3受賞(論文賞、優秀技術賞、奨励賞)の研究成果の発想のコツをご紹介します。一言でいうと、アナロジー思考です。セイコー精機㈱時代の磁気浮上制御技術を温度制御に応用し効果を発揮し、温度制御のモデリング技術を太陽光発電のモデリングに応用し効果を発揮したからです。本質的な問題の構造(機序)は同じだろう、遠い分野で応用できたら面白く新規性もあると考え試しました。それが幸運にも有効だったのだと思います。
 今後もよりよい社会のため、太陽光発電の健全な普及と本学会の更なる発展に、微力ながら貢献したいと思っています。 

木村英樹   東海大学教授 2021.5.13-
 

「カーボン・ニュートラルを目指すクルマの開発」
 この度は、このような栄誉にあずかり誠にありがとうございます。大学教員となり、ソーラーカーチームのメンバーとなって活動を開始したことが、本会に入会するきっかけとなりました。それから間もなく23年が経ちますが、この間に太陽電池モジュールのレイアウト法や、それに関連したMPPTなどの配置法、電気二重層キャパシタの応用、高効率モーターの開発、小型燃料電池車などについて、企業・研究所・学校等と連携して研究開発を進めてまいりました。学会内では各種委員会に参加して、多くの会員の皆さま(=同志)と交流することができました。そのおかげもあって、ソーラーカー世界一という実績を残すことができました。現在は本会の事業として製作講習会を毎年開催しています。今後もカーボン・ニュートラル社会を実現するためのクルマづくりを担うことができる、若手エンジニアの育成に力を入れていれていきたいと存じます。

若尾真治   早稲田大学教授 2021.5.13-
 

「持続可能な社会の実現に向けて」
 この度は日本太陽エネルギー学会フェローの称号をいただき,御礼申し上げます.電力ネットワークに再生可能エネルギー由来の分散電源が大量導入されるなか,解決すべき課題は増加の一途をたどっています.これまで,大規模数値解析を用いた太陽光発電システムにおけるエネルギマネジメントの最適化に関するテーマに取り組んできました.家庭用太陽光発電など多くの人々がエネルギー供給に携わると同時に自ら消費する社会構造へと適切に転換していくためには,技術開発のみならず,人任せではなく社会を支えるエネルギー供給の一翼を担っていくという意識を皆で共有することが重要です.日本太陽エネルギー学会では,様々な再生可能エネルギーの活用を目指すと同時に,一般から専門家まで広い範囲を対象に情報発信を行っています.持続可能な社会の構築に向けて,先に述べました意識共有の実現を目指し,本学会の場で微力ながら貢献していきたいと思います.

岡島敬一   筑波大学教授 2021.5.13-
 

「低炭素でレジリエントな社会に向けて」
 この度はフェロー認定を頂戴し御礼申し上げます。低炭素かつレジリエントなエネルギーと社会を目指し、エネルギーシステム評価研究を行っています。わが国の電気事業で初の事態となった2018年9月の北海道全域でのブラックアウトが記憶に新しいところですが,われわれの想定を遙かに上回る規模と頻度で,大地震や自然災害が発生し,エネルギー途絶に見舞われる事態が起こるようになってきています。これまで,エネルギーシステムの低炭素化とレジリエンス性は別種に扱うものと見なされがちでしたが,2050年カーボンニュートラル実現を目指しつつ、今後は双方を兼ね備えたエネルギーシステムが大いに求められます.分散型低炭素エネルギーの中核を担う太陽光発電は「低炭素でレジリエントな社会」を担う基盤であり、技術面のみならず社会面や政策面についても本学会が議論をリードできるよう期待するとともに、微力ながらも貢献できれば幸いです。

植田譲   東京理科大学教授 2021.5.13-
   

「太陽光発電の価値を高めて脱炭素社会の実現を」
 太陽光発電システム技術と分散型電源の大量導入に向けた研究を行っています。電源に求められる価値は,エネルギーとしての価値のみならず,環境価値や需給調整力としての価値,災害時の活用など様々です。太陽からのエネルギーを利用する再生可能エネルギーが主力電源の一翼を担うためには,これからも新しい技術で電源としての価値をどんどん高めていく必要があります。エネルギーインフラの更新は一朝一夕にはなりませんが,本学会でのフェローとしての活動を通じて,次の世代を担う研究者,技術者の皆さんと一緒に脱炭素社会の実現に貢献できるよう,学会活動を盛り上げていきたいと思います。 

桶真一郎   津山工業高等専門学校准教授 2021.5.13-
 

「太陽光発電の健全な普及のために」
 太陽エネルギー,とりわけ太陽光発電を取り巻く情勢は常に大きな変化を続けています。その変化は,必ずしも好ましいものばかりとはいえません。たとえば,一般の方々の抱く太陽光発電のイメージはここ10年以内で良い方から悪い方に大きく転換したのではないかと感じています。これまで,太陽光発電の主力電源化に貢献したいという思いから,集光式太陽電池モジュールの開発と評価,太陽光発電電力の予測とその利用,太陽電池モジュールの故障特性の評価といった研究に取り組んできました。このような状況をたいへん悲しく感じていますが,一研究者である私にできることは,地道に研究を続けその成果をできるだけわかりやすい形で一般社会に還元していくことだと考えています。他のフェローの方々に比べて実績や見識は大きく不足していると思いますが,微力ながらも太陽エネルギーの健全な普及と学会の発展に貢献できればと思います。
 

伊藤雅一   福井大学准教授,元早稲田大学准教授 2021.5.13-
 

「初めて発表した学会」
 この度はフェローとして認定頂きまして大変光栄です。約20年前の学生の時に入会し,それからずっとお世話になっております。専門は太陽光発電システムですが,当時は電力系統に接続できるようになって間もなく,周りにはほとんどありませんでした。それが,今では産官学どこでも主力電源化に向けた取り組みが進められ,再エネ導入目標も引き上げられました。一方で,何もしなければ「お日さままかせ」という点は当時から変わりませんので,この解決に向けた取り組みがとても増えています。私自身も太陽光発電システムに限らず,蓄エネ装置や風力発電,電力ネットワーク,LCAなど,主力電源化につながるような分野に興味があります。このような分野を広く俯瞰している日本太陽エネルギー学会は,勉強だけでなく,研究発表会などでのネットワーク構築や,友人と切磋琢磨できる場であり,この素晴らしい場を僅かながらでも盛り上げていきたいと考えております。 

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熱利用・冷暖房給湯分野

小泉尚夫   東洋ソーラーシステム研究所,元東芝,元朝日ソーラー取締役 2021.5.13-
 

「我が国における太陽熱利用の復活を願って」
 1973年の石油ショック当時、私は東芝の中央研究所で空調関連の研究などに携わっていたが、急遽ソーラーハウスの開発を命ぜられ、太陽熱に関わることになり、1975年に通産省の補助金を受け空気集熱式ソーラーハウス実験住宅を建設した。1年間の居住実験を行って、事業化も可能に思われ、自宅にソーラーハウスを建てて事業化を進言し、東芝住宅産業㈱にてソーラーハウスの事業化を担当することになった。1988までの5年間に標準化した空気集熱式ソーラーハウスを450棟販売するも、東芝は住宅事業から撤退することになる。ソーラーハウスの技術を絶やさぬよう㈱東洋ソーラーシステム研究所を設立、ソーラーハウスシステムの設計製造、また石川県のエナテックス社とヒートポンプ給湯器と組合せた太陽熱温水システムの開発も行い、省エネルギー大賞を受賞。またNEDOの受託研究で夏期の集熱温風利用のソーラーデシカント冷房システムの実用化にも取り組んでいる。 

佐藤春樹   慶應義塾大学名誉教授,東京海洋大学客員研究員 2021.5.13-
 

「『自然工学』しませんか」
 「エネルギー利用自然工学」を纏めています.植物は太陽エネルギーを吸収しても高温化しない(熱),大気中炭素を陸に固定し(炭素),水を陸に蓄え,蒸散により水を供給して大気を冷却するとともに,海を介さない陸・空の水循環をつくり海面上昇を抑えています(水).植物が熱・炭素・水のそれぞれの地球規模の循環機能を果たしているといっても過言ではないでしょう.太陽電池は既存の人工物表面に設置するのが本来であり,日射による高温条件での実質発電効率は 15 % 以下で,その熱放射が大気を温めます.熱放射を軽減できるパネル開発を進めています.すべてのエネルギー供給を脱炭素化しても,自然環境の循環機能に調和しなければSDGsの達成は困難です.様々な視点から自然環境と調和する統合システムデザインがこれからの工学には必要であり,温熱を冷熱に変える装置開発なども進めています.仲間を募っています.気軽にご連絡下さい(hsato2010@live.jp).
 

秋澤淳   東京農工大学教授 2021.5.13-
 

「太陽熱で空調しましょう!」
 本学会では太陽熱利用を中心に活動しています.一方で熱駆動ヒートポンプサイクルの研究を行なっているので,その熱源として太陽熱はうってつけです.熱駆動ヒートポンプとは熱を主たるエネルギー源として動作する吸収冷凍機,吸着冷凍機のことを指します.太陽熱とこれらを組み合わせるとソーラークーリングシステムとなり,太陽熱を利用した冷房空調を提供できます.日本では事例が少ないですが,世界的には大型のシステムも導入されています.カーボンニュートラルを目指すには電力ばかりでなく熱の脱炭素化が不可欠です.太陽熱利用を社会により一層実装することは2050年に向けた大きな課題になります.熱駆動ヒートポンプ技術と組み合わせることによって太陽熱は給湯だけでなく,冷房・冷凍や除湿・乾燥を供給することもできます.1000℃を超える高温になれば水の熱分解によって水素の製造も可能になります.太陽熱利用の将来に向けた幅広い展開に少しでもお役に立てればと思います.
 

秋元孝之   芝浦工業大学教授 2021.5.13-
 

「再生可能エネルギーによる環境負荷削減、レジリエンス強化」
 この度はフェローに認定して頂きまして誠に有難う御座います。わが国では、省エネルギー・省CO2による環境負荷削減が喫緊の課題であるとして、建築物の省エネルギー基準への適合義務化の議論が進むと共に、ゼロエネルギーの住宅やビルによる省エネ化・低炭素化が推進されてきています。政府の「2050年カーボンニュートラル」宣言は、従来の省エネルギーや脱炭素化に向けた気運や取り組みを後押しするものです。太陽エネルギーを活用した技術の役割がより一層重要なものになってきていることは論を俟ちません。近年は、地震や水害などの激甚化する自然災害や複合災害も頻発してきています。さらには新型コロナウイルス感染症の蔓延がこれまでの社会経済活動の継続に対しての重い足枷になっています。今後も激動の時代を乗り切ってよりよい未来を実現するために、再生可能エネルギーに関連した研究・技術開発を着実に進めることに努めたいと思います。
 

山田昇   長岡技術科学大学教授 2021.5.13-
 

「本会の特徴を活かした脱炭素化への貢献」
 この度は本会フェローに認定していただき、大変光栄に存じます。カーボンニュートラルに向けた取組みが世界的に加速する中で、フェローとして学会や社会にどのような貢献ができるかを考えると身が引き締まる思いです。本会の特徴の一つとして、機械、電気、建築、バイオ、気象などの各分野の大学等の研究者に加えて、企業やシンクタンクなどの現場の技術者(経験者)や制度・仕組みづくりに関わる皆さんが参画していることが挙げられます。脱炭素化を達成するためには、10年後に実現できそうな先端研究だけではなく、今ある技術の組み合わせで即効性のある解を提案していくことも必要ではないでしょうか? そのような融合技術を議論・創出する場として本会は最適だと思います。また、これらの技術を早期に社会実装するための仕組みづくり、ことづくりも必要であり、私自身も最大限に貢献したいと決意を新たにしております。今後とも何卒よろしくお願い致します。
 

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パッシブ・低エネルギー建築分野

宇田川光弘   工学院大学名誉教授 2021.5.13-
 

「ソーラーゼロエネルギーハウス」
 1975年(昭和50年)学会入会以来、46年が経ちました。入会から今日まで、建築環境工学を専門として、ソーラーハウスに携わってきました。入会当時、ソーラーハウスとは太陽熱で暖房、給湯、冷房を行う太陽熱利用建築であり、新技術として太陽熱冷房が注目されていました。また、この時代、暖房・給湯の熱負荷すべてを太陽熱で賄う建築がゼロエネルギーハウスでした。1990年代には建築での太陽電池利用が徐々に普及し、21世紀になってからはソーラーハウスとは太陽光発電利用住宅を指すようになりました。今日では、健康で快適な居住環境に必要な熱、電気のすべてを太陽エネルギー賄うゼロエネルギー建築も現実になりつつあります。建築の熱的性能と設備システムの総合的性能に優れたソーラーゼロエネルギーハウスの一層の普及を図ることが、太陽エネルギー学会の役割の一つであると考えています。
 

大野二郎   大野二郎環境建築研究所,元日本設計環境創造マネジメントセンター長 2021.5.13-
 

「地域ポテンシャルを活かした環境建築デザインへ」
 1998年入会当時、NEDOの委員としてIEA/PVPS/TASK7の建築分野専門家会議に参加活動していました。海外の美しい環境建築と触れ合い、志を同じにする建築家仲間との交流は、その後の私の環境建築デザインの作品を作りの基軸となっています。またJSESでの委員会活動・理事活動・部会活動や会員交流では最新RE情報や人脈を増やし、建築学会や建築家協会等の他学会での活動にも大きな影響を与えて来ました。地球温暖化対策と気候変動対策としての、再生可能エネルギーは国の主力電源として期待され、新技術開発とともに実普及や法制度の課題に移行すべき時代に入りました。ZEB/ZEH(ゼロエネルギー建築/住宅)は世界標準として早期実現が要請されています。一方、建築物は文明や文化の地域や時代を特徴づけるものです。省エネと創エネの技術発展と地域ポテンシャルを活かした地域文化的な様相としての環境建築デザインを再構築したいと思います。
 

須永修通   東京都立大学名誉教授 2021.5.13-
 

「教育・啓発用コンテンツの 作成にご協力を!」
 フェロー認定,ありがとうございます。2020 年 5 月まで会長をさせていただきましたが,その後「教育委員会」を立ち上げました.この委員会では,小学校から大学教養課程までの学生さんや主婦層など一般の方々を対象とした教育・啓発用のコンテンツを創ることで,本学会の認知度・社会貢献度の向上を図ることを目的としています.皆様にも,是非,コンテンツ作成にお力添えをいただきたく,お願い申し上げます.

  私の専門は建築で,「快適で地球に優しい建築を創る手法やその普及」をテーマに,人体の温熱快適性や環境共生建築に関する研究・教育をしてきました(※).本学会では,ソーラー建築部会に所属しており,「地球に優しく,快適で,人に悦びを与える」ゼロエネルギー建築/エネルギープラス建築の早期普及に少しでもお役に立てればと思っています.
※http://www.comp.tmu.ac.jp/sunaga.lab 

酒井孝司   明治大学教授 2021.5.13-
 

「低エネルギーで快適な温熱環境構築を目指して」
 CFD(数値流体力学)研究をベースに,建築の温熱環境評価を中心に研究を行っています。太陽エネルギー学会関連では,建物および人体の日射遮蔽手法の解析や,PVパネルが周辺に及ぼす熱的影響について研究を進めてきました。現在深刻化する温暖化問題への対応には,低エネルギーで快適な温熱環境を備えた持続可能な建築の普及が必要不可欠と思います。持続可能な建築を構築するためには,太陽光発電等のアクティブな太陽エネルギー利用の普及促進に加えて,日射の影響を極力提言する日射遮蔽や,太陽熱のパッシブ利用を複合的に考える必要があると考えています。これまでは,個々の技術・手法について研究を行ってきましたが,今後は,様々な要素を統合的に評価する研究にシフトしていきたいと考えています。これらの研究や積極的な情報発信を通じて,フェローとしての責務を果たしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 

太田勇   ミサワホーム総合研究所取締役執行役員 2021.5.13-
 

「JSESの益々の発展を目指して」
 この度日本太陽エネルギー学会フェローを拝命しましたミサワホーム総合研究所の太田です。振り返るとすでに25年以上JSESの活動に関わり、ちょうど住宅における太陽光発電利用がスタートする時期と重なり、この分野のダイナミックな変動期を経験することができました。今や住宅における太陽光発電は“当たり前”。国はその太陽光発電をベースとしたZEH(ゼロエネルギーハウス)を住宅の標準にすると宣言するに至りました。時代は省エネから脱炭素へとドラスティックな変革期にあります。脱炭素を実現するエネルギー源は元を辿ればすべて太陽。学会の役割は益々重要になります。フェローを拝命するような器ではないと一旦はお断りしましたが、お引き受けした以上は学術団体としての存在意義を踏まえつつ、産官学の連携や国民一人一人の意識変革など、学会が果たせる役割について私なりに考え、微力ながら団体の発展に務めて参ります。 

吉永美香   名城大学教授 2021.5.13-
 

「JSES教育委員会の活動紹介」
 この度のフェロー制度の設立をたいへん嬉しく思うとともに、認定を頂きましたことを感謝申し上げます。会員同士の横の連携を強固にするとともに、専門知識を本会活動にフィードバックするプラットフォームとして機能していくことを期待しています。
 昨年度、子供たちや一般の方にも再生可能エネルギーを深く理解してもらいたいという願いのもと、須永前会長の呼び掛けで「教育委員会」が立ち上がりました。私は本年度の副委員長を仰せつかっております。二年目となり、小学校~高等学校の授業向け資料の作成、子供向けの動画教材の作成、学会が保有する新旧資料のデジタルアーカイブ化など、本委員会が目指すゴールの形が明確になってきたところですが、「言うは易く、行うは難し」を折につけ実感しています。近い将来、会員の皆様へ委員の増強並びに、写真・動画等の素材のご協力を仰ぐ呼び掛けがあろうかと思いますが、その際は何卒ご協力のほど宜しくお願いいたします。 

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バイオマス・農業利用分野

松本俊郎   元近畿大学教授,元大阪府立工業高等専門学校教授 2021.5.13-
 

「フェロー就任のご挨拶」
 この度は、日本太陽エネルギー学会のフェローに加えていただき、大変光栄に存じます。私の、太陽エネルギーとの係わりは、大阪府立工業高等専門学校在職時、上司の多賀正夫(後、近畿大学)先生から、ソーラーポンドの蓄熱特性に関して、シミュレーション計測の依頼を受けたことに始まります。これをきっかけに、同先生のご研究に、長くお仲間入りをさせていただきました。近畿大学生物理工学部に在職してからは、生物工学科堀端章先生(現当学会関西支部長)と今日迄研究をさせていただいています。生物の光との関係について、直に教わり、大変感謝しています。翻って、大阪府立大学で、光計測という分野において、永田良並びに、岩田耕一両先生から、懇篤なご指導を受けましたことが、その後の研究の礎となっています。この様に、よき師、よき共同研究者、よき大学院生そして、学生にも恵まれて参りました結果が、今回の称号授与に至ったと感謝しております。 

鈴木高広   近畿大学教授 2021.5.13-
 

「脱炭素社会を担う芋メタン・水素生産」
 水素燃料への期待が高まっています。水素を大量生産する最適な方法は、太陽光と大気CO2で生産したサツマイモをメタンに変換し、メタンから水素を取り出す方法です。サツマイモは、太陽光を最大効率で利用しバイオマスを量産できることを実証しました。芋も茎葉も可食性のサツマイモは、微生物発酵法により容易に全量をメタンに変換できます。メタンは都市ガスの主成分です。メタンから水素を取り出し発電と給湯を行う燃料電池は一般家庭にも普及しています。国土の66%を占める山林の光合成効率は0.06%、木質発電効率は30%程ですが、サツマイモの光合成効率は4%、燃料電池の総合効率は90%に達します。森林よりも単位面積あたり200倍のCO2削減効果をもたらすため、国土の1割の面積でサツマイモを量産すれば、国産バイオマスを主燃料として化石燃料を全廃し、ゼロカーボン社会を実現できます。
 

堀端章   近畿大学准教授 2021.5.13-
 

「太陽光発電と作物生産を考える」
 この度はバイオマス・農業分野のフェローへの選任の栄を賜り光栄に存じます。まずは御礼申し上げます。私の主な研究分野は作物の品種改良ですが、新しい作物を開発する上で重要な因子のひとつに「収量(単位面積あたりの収穫量)」があります。これを下位の因子に分割すると、光合成効率(葉の単位面積あたり光合成量)、受光体制(多くの光を受けられるような葉や茎の空間配置)、栽培期間(作物を植えてから収穫までの時間)、収穫指数(作物の収穫される部分の重量比率)となります。太陽光発電に置き換えると、セル変換効率、モジュールの設置角度、日照時間、系統電力網に接続する際の中間ロスということになるのでしょうか。このように、太陽エネルギーの利用の観点からは、太陽光発電と作物生産はとてもよく似ております。異なる専門分野の視点から見ることで、太陽エネルギー学会の発展に多少なりとも貢献することができればと思います。
 

平田陽一   公立諏訪東京理科大学教授 2021.5.13-
 

「太陽光発電システム分野、農業利用分野の研究への取り組み」
 この度は、学会のフェローに認定頂きまして、誠にありがとうございます。思い起こせば、学会にお世話になった初めは、大学の学部4年の時に遡ります。当時、恩師の谷辰夫先生の研究室で英弘精機の6chの分光日射計と出会いました。当時としては、こんな荒いデータを基に太陽電池の分光感度と掛け合わせて、どの程度の精度が得られるのだろうかと、疑問の毎日でしたが、その研究で学会から奨励賞を頂き、考え直したことを思い起します。その後、その研究テーマは多方面に波及し、また英弘精機の分光計の精度は格段に波長解像度が上がった分光計が出てきて、今思えば思いもよらないテーマに出会ったのだなと隔世の感があります。最近では、シースルーの有機薄膜太陽電池を農業用に評価した研究に取り組みました。今後も、太陽光発電システム分野、農業利用分野への研究に取り組んで参りたいと思いますので、皆さまご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。 

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光化学・電気化学分野

荒川裕則   東京理科大名誉教授 2021.5.13-
 

「夢ではない人工光合成技術」
 色素や半導体触媒を用いて、太陽光で直接、水を分解して水素と酸素を製造する技術、いわゆる人工光合成技術の実用化に期待したい。この太陽水素があればエネルギーとしての使用の他、簡単に炭酸ガスを有用化学品に再資源化できる。電気分解を利用したグリーン水素に比べて理論エネルギー変換効率が高く、製造コストも安価であることが予想される。基礎研究段階ではあるが、この太陽水素の太陽エネルギー変換効率は10%以上達成している。もう一息で、太陽電池なみのエネルギー変換効率であり、実用化が視野に入る。21世紀最大の課題である地球温暖化問題やエネルギー問題が一挙に解決される日が来るのではないかと、胸が高鳴る。若い研究者の挑戦と活躍を期待したい。

専門:触媒化学、色素増感太陽電池
略歴:東京理科大学名誉教授、元・産総研光反応制御研究センター長、本学会法人第2期会長 

田島右副   理化学研究所専任研究員,金沢工業大学客員教授 2021.5.13-
 

「太陽エネルギー利用の最新技術で社会貢献をめざしましょう」
 この度,日本太陽エネルギー学会のフェローを拝命しました.これまで有機薄膜太陽電池(OPV)用p/n半導体インクやそれらの静電噴霧塗布で作製した曲面OPVの研究に取り組んできました.半球面などの非平面形状の太陽電池は太陽光の更なる有効利用に寄与する技術です.太陽光は低環境負荷のエネルギー源であるだけでなく,持続的に電力を供給し難い場所での自立型電源としても活用されています.例えば,IoT化が進む農業現場では広大なフィールドで環境に考慮しつつ継続的にかつ安定的な電力供給が求められます.畜産酪農分野でも家畜のリアルタイム診断を支えるセンサーの自立型電源として太陽電池が検討されています.このような産業応用の取り組みは、研究者個々人が専門に籠らず,広い視野で社会貢献を目指す意識を持つことが重要です.当学会が得意とする学際領域,産学連携研究を通じて,次世代の太陽エネルギー利用の発展に微力を尽くして参りたいと思います. 

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気象・地球環境・風力・波力・その他の分野

牛山泉   足利大学理事長 2021.5.13-
 

「持続可能な社会構築への牽引役として」
 現在、世界中でSDGsが重要なキーワードになっています。私は、このような潮流が起きる前から、1977年に日本風力エネルギー学会JWEAを創設するなど、風力を中心に再エネの研究開発に取り組んできました。その啓発活動の一環として、大学構内に設置した、再エネを「見える化」したユニークな施設「風と光の広場」には、国内外からの見学者も多く、新エネ大賞も受けております。
 また、2002年から2006年までJWEA会長、2006年から2008年までJSESの会長も務めさせていただき、この間、故濱川圭弘先生には大変お世話になり感謝しております。
 今世紀に入り、太陽光発電はFIT 政策もあって急伸長し、風力発電は洋上風力発電として結実しつつあります。2050年カーボンニュートラル実現のための最有力手段は再エネの積極的導入であり、これを担う本学会のさらなる発展を期待しております。 

板垣昭彦   日本気象協会 2021.5.13-
 

「フェローの認定に当たって考えること」
 1989年からNEDOの太陽光発電関連業務に従事することになり、1993年5月に本学会に入会しました。以降、太陽光に関する研究テーマについて発表会で紹介させて頂きました。この発表会、パワーポイントによるプレゼンが導入されるまでは、OHP(Overhead projector)シートによるプレゼンが主流でした。プレゼン方法の変化だけではなく、近年のOA機器の進歩によって、データ処理のスピードが格段に速くなっています。私達が扱う気象データについても、現在では、気象庁のホームページから、アメダスの観測データ等が簡単にダウンロードできるようになりました。また、大量のデータを素早く処理するツールも沢山存在しています。その事自体は喜ばしいことですが、処理することが優先され、じっくりとデータを吟味することが疎かになっているのではないか? と感じる事があります。「少し、立ち止まって、考察する時間を持つことも重要」と、フェローの認定に当たって考える今日この頃です。 

根本泰行   足利大学教授 2021.5.13-
 

「再生可能エネルギーの『本質』を追求して」
 フェローは「もっとえらい人」がなるものと存じておりましたので,速やかに辞退させていただく所存でおりましたが,光田会長からのお言葉「できるだけ多くの人に参加してほしい」を受け,お引き受けすることといたしました.「風力・その他」部門での認定ですが,再生可能エネルギー全般を研究対象としています.フェローの役務ですが,「隗より始めよ」で,まずは論文投稿数がやや少ないとされる学会誌に何本か論文投稿するところから始めたいと存じます.
 さて,近年,メガソーラー,洋上風力発電と,「大規模集中的」再生可能エネルギー・プロジェクトが多数進められています.こうしたプロジェクトの意義は承知しておりますが「再生可能エネルギーの本質は『小規模分散』ではなかったか?」と思わないでもありません.「大規模集中」に加え「小規模分散」再生可能エネルギーの普及拡大にも取り組んで参りたいと存じます.今後とも宜しくお願い申し上げます. 

吉田茂雄   佐賀大学教授/九州大学教授 2021.5.13-
 

「風力エネルギーの研究開発の裾野の拡大と質の向上のために」
 政府のグリーンエネルギー基本戦略ほか,洋上風力を中心に導入量が急激に伸びることが期待され,従来にも増して風力発電が注目を集めるようになりました.しかし,その効果に実質的な意味を持たせるためには,導入量を現在の数十倍に伸ばす必要があります.これは,現在の技術・取り組みの延長線上では実現は難しく,風力発電装置・システム自体の技術的なイノベーションのほか,他の再生可能エネルギーとの協調,電力システム全体へのインテグレーション,ならびに,法・制度の整備・運用が重要になってきます.
 以上のような状況に鑑み,自らの研究を一層推進するのは無論,当学会の活動などを通して,風力エネルギーの研究開発の裾野の拡大と質の向上に貢献すべく,巻き込んでゆきたいと思います.
 引き続き,みなさまのご指導・ご協力をお願いいたします. 

安田陽   京都大学特任教授 2021.5.13-
 

「社会に貢献する太陽エネルギーになるために」
 この度はフェローに推薦頂き大変光栄に存じます。私自身、25年以上風力発電の分野を歩み、さらにその後50歳になってから電気工学から経済学に「文転」したという経緯を持っているため、学会にこれまであまり貢献しておらず恐縮な限りですが、今後はこのような経験を元に学会に対して貢献して行きたいと思います。例えば、再生可能エネルギーは従来型電源に比べ「負の外部性」(わかりやすく言うと隠れたコスト)が極めて低いことが世界中で推進される理論的支柱となっていますが、昨今の日本の太陽光発電の各地でのトラブルを見ると、日本ではむしろ外部性が増えているのではないかと懸念しています。今後学会は、工学だけでなく人文社会科学の分野も重視して、社会に受け入れられる太陽エネルギーを目指さなくてはなりません。微力ながらそのお手伝いができれば幸甚です。
 

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各種実用化技術分

脇坂健一郎   フジキン執行役員,元三洋電機 2021.5.13-
 

「太陽光発電システムのさらなる利⽤拡⼤に向けて」
 ⽇本太陽エネルギー学会のフェローに認定頂きました事、⼤変名誉に思います。三洋電機で⺠⽣/電⼒⽤のアモルファス太陽電池の研究開発を⽪切りに、パナソニックではアモルファス太陽電池製造会社やパワコン製造会社も担当しました。この間の、同僚、後輩の皆さんの御⽀援、特に上司の御指導の賜物と深く感謝申し上げます。現在は、フジキンという半導体製造装置⽤のバルブ、継⼿等の製造会社におりますが、同社ではカーボンニュートラルの実現の為に積極的にPV システムを導⼊しています。つくば⼯場に1MW 級のカーポート新設、来年創業するベトナムダナン市のR&D センターの1 期⼯事に250MWのシステムを導⼊予定です。発電した電⼒を使った低コストな⽔素製造の研究も計画しております。貴学会の益々の発展を祈念しますともに、それを⽀える会員としても積極果敢にエネルギー問題解決に挑戦し続けて参りたいと考えております。 

盧炫佑   OMソーラー取締役技術部長,工学院大学客員研究員 2021.5.13-
 

「健康・快適の上、脱炭素社会を実現する技術を目指して」
 来日して、本学会の会員になってから凡そ25年になりますが、その間、省エネでありながら、室内温熱環境の快適さを確保する建築環境工学を学び、研究してきました。住宅において、近年まで我慢(節約)も省エネとして認識されてきましたが、最近は全館空調という豊かな室内温熱環境が求められるようになってきました。しかし、我々は地球温暖化の深刻さによって災害の強大化と発生頻度が増えてしまった気候危機に直面しております。待ったなしの地球温暖化を抑制することは世界の最重要課題ですので、私は、今、住宅において、快適な室内温熱環境と省エネルギーの両立により、健康・快適でありながら、気候危機を回避する脱炭素社会の実現のため、エネルギー自立を目指しているAll Time Real Zero Energy Houseの実用化技術開発と普及に努めています。 

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