現在の太陽光発電設備の主流であるアレイ制御方式のPCSにかわる新しい制御方式であるモジュールレベル・パワーエレクトロニクス(MLPE : Module Level Power Electronics)やストリングレベル・パワーエレクトロニクス(SLPE : String Level Power Electronics)は、太陽電池モジュールへの影やその設置姿勢の影響の軽減による発電量の改善やモニタリング精度の向上などの特質がある。また、本年9月9日に千葉県で発生した水上太陽光発電設備の火災事故を契機に、これらの技術の安全保護機能にも注目が集まっている。
そこで、このセミナーでは、複数の講演者にMLPEやSLPEの原理や最近の技術ならびに市場に関する動向、わが国での今後の普及の見通しなどを解説いただくとともに、講演者と聴講者を交えたインタラクティブ・ディスカッションを実施する。
日時
令和元年12 ⽉19 ⽇(木) 13:00〜17:00
会場
東京理科⼤学 森⼾記念館 第1 フォーラム(東京都新宿区神楽坂 4-2-2)
講演プログラム ※学会誌特集記事へ
◆13:00-13:10 開催あいさつ・趣旨説明:加藤和彦(JSES理事・太陽光発電部会長、産業技術総合研究所)
◆13:10-14:00 Module Level Power Electronics(MLPE)の魅力と最近の動向:稲葉道彦(東芝エネルギーシステムズ(株))
講演概要:ストリングインバータに比べたMLPEの特徴を概説し、これらの品質や安全性を向上させるだけでなくIoT時代のキーパーツとしての魅力を語る。特にマイクロインバータを自社開発した経験から、信頼性、安全性、系統連系の側面では実際の試験項目とポイントを解説する。また時間があれば蓄電池やデータ取得を通した今後の発展性についても触れる。
◆14:00-14:30 マイクロインバータ技術による需給一体型モデルの実現:難波圭一(モバイルソリューション株式会社)
講演概要:マイクロインバータ技術(MLPE)を需給一体型モデルに適応することによる安全性・設置や保守の効率性・発電効率の高いシステムの実現や、災害に強いシステムを構築するためのマイクロインバータのゲートウェイの拡張による蓄電池システムやエコキュートと連携について概説する。さらに、需給一体型モデルに不可欠な通信機能(Wi-SUN FAN)と拡張性の高いゲートウェイも紹介する。
-休憩(10分)-
◆14:40-15:10 MLPEとしてのソーラーエッジシステム:永沢健(ソーラーエッジテクノロジージャパン株式会社)
講演概要:MLPEの一形態としてソーラーエッジシステムの概要と動作コンセプトを概説し、その特長と応用展開を国内外の事例を含めて紹介する。またスマートインバータとしての観点からも簡単に紹介する。
15:10-15:40 ストリングオプティマイザの動作メカニズムとその効果:近藤茂樹(アンプトジャパン合同会社)
講演概要:太陽光発電所において全てのストリングにMPPTがあれば、影/ケーブル電圧ドロップ/経年劣化等のバラつきによる最適動作電圧のズレが原因のミスマッチ損失を低減できる。Amptストリングオプティマイザがどのようにしてミスマッチ損失を低減するのかを説明する。また、大分の発電所で導入した実際の改善効果を紹介する。
15:40-16:10 TigoのMLPEによる太陽光発電システムの効率化と安全性の向上:天野啓史(Tigo Energy Inc.)
講演概要:MLPEを用いたメンテナンスの効率化と発電量アップを実例と共に紹介するとともに、人と資産を災害から守るモジュール・レベルのシャットダウンの仕組みと米国での導入状況を概説する。
-休憩 (10分)-
16:20-17:00 インタラクティブ・ディスカッション